2021年3月20日土曜日

「天国と地獄~サイコな2人~」第9話のあらすじと感想

 連続殺人事件の悲しい真相…


女刑事・望月彩子(綾瀬はるか)と、猟奇殺人事件の容疑者・日高陽斗(高橋一生)の魂が入れ替わってしまうサスペンス・エンターテインメント。

真犯人の正体はやはり日高の双子の兄・東朔也(迫田孝也)で、陸(柄本佑)が師匠と慕う湯浅だった。


同じ条件の元、歩道橋から転落した彩子と日高。二人の魂は元の身体に戻っていた…。逮捕されようと両手を差し出す日高だが「そんなに捕まりたいなら、その辺に出頭すれば」と彩子。自分は主犯の東朔也を確保しに行くと言う。兄が福岡にいると聞き、驚く日高。彩子は日高がここで捕まったところで、東を逃げ切らすのはもう無理だと言う。

「ここで会わきゃ、もう二度と会えないと思うけど、それでいいの?」「でも、そんなことをしたらあなたは…」

そこへ…「えらい、仲良さそうやなー、お二人さん。」八巻(溝端淳平)と通話していたスマホの位置情報から、河原(北村一輝)が到着。

日高は、もう逃げないと河原に歩み寄るが、股間を蹴って逃走。途中でスマホを道路に投げ捨てる。「望月、後を追います!」走り出す彩子。

河原からの通報で緊急配備がしかれるが、無事に二人は合流。


彩子の立場を心配する日高に「大丈夫。あんたとお兄さん、二人まとめて捕まえれば、言い訳は何とでもなる。」と彩子。そして陸に連絡。元に戻ったことを告げ、日高と東、二人を会わせるまで東が捕まらないようにして欲しいと頼む。

次に八巻を呼び出し、自分たちは奄美大島へ向かうから、日高のカードを使って彼の行方を工作するよう依頼する。スマホが無くなった今、居場所を特定できるのはカードの利用歴のみ。そして八巻は北へ向かう。

しかし、河原と幅(谷恭輔)は、八巻のスマホを追っていた…。東京駅の改札を通ったのを確認し、囮ではないかと疑う。


そして、捜査本部では彩子の思惑通り、日高のカード利用歴から日高は仙台に居ると発表される。八巻の位置情報と一致することから、囮だと確信する河原。


何とか検問を逃れた彩子たちは、熊本に到着。八巻に連絡し、捜査本部はカード情報に誘導されたと聞く。彩子と一緒に日高の人間関係を洗っていると報告したという八巻に、適当なところで戻るように伝える。


一方、独自に動く河原と幅は、彩子の自宅を捜索。整頓された部屋を見て、彩子の散らかったデスクを思い出す河原…「日高と会ってから、人が変わったみたいだったんだよな、あいつ。」

ベッドマットの中から例の証拠品と日高の皮手袋を見つける。そしてチケットの半券から、二人は奄美大島へ向かったと考える…

やり方はともかく、河原は優秀な刑事だと思う。ただ不当に回収された物って、証拠になったっけ?彩子たちに不利にならなければいいのだが…。


彩子たちは、熊本から鹿児島へ抜けて、フェリーに乗る予定で動いていた。その道すがら、日高から今までの経緯を聴く彩子…兄と再会したのは、コ・アース社。日高が、客が落としたコンタクトを探していた時に、清掃員として派遣されていた兄・東が見つけてくれたのだ。親切で、ちゃんと答えてくれる感じがしたことから、洗剤のモニターを頼み、交流が始まり…感想がとても参考になるものだったので、次々とモニターを頼む内に自然と仲良くなったという。

東のことを兄だと気づいたのは、彼が妻と喧嘩したという日で、あの歩道橋の上で二人飲み直した時だと…右掌のホクロを見て、子どもの頃に会った歩道橋の男の子のことを思い出し、あの時もらった歯とお酒のカップをDNA鑑定に出した。自分が連れ子だったことは知っていたし、母親の態度から何となく他に子どもがいるのではないかと思っていたと話す。兄は知っていたのに明かさなかったのだから、時間をかけて話そうと思い、奄美大島に誘った。だが、その時は考えさせてくれと言われたと…。


その頃ー陸と東は鹿児島港でフェリーを待っていた。どうして奄美に行きたいのか尋ねる陸に、弟が一緒に行こうと言ってくれたのに、行けなかったからだと答える東。そして弟について、自慢としか言いようがない人物で、洗剤のモニターを頼まれて嬉しかったと話す。

奄美に誘ってくれたが、あまり近づき過ぎると、見せたい自分だけ見せるのも無理になると思い、考えさせてくれと答えた。でも、ずっと気づいて欲しいという気持ちもあったから、行くことにしたと…。話の途中で痛みが襲い、倒れる東。「やっぱ、奄美、行けねえのかな…行けねえのか。」


捜査本部に戻った八巻。そこへ熊本で日高を目撃したという情報が飛び込んでくる。髪の長い女性が1名、一緒だったと。更に日高と東が生き別れの兄弟だという報告があがり、母親が奄美の出身だということも…鑑識の新田(林泰文)が、仙台で日高のカードを使用した男の映像を入手したと入って来る。顔を隠す八巻が映っていた。特定を急ぐよう指示する五十嵐管理官(野間口徹)…「僕も終わりです。さようなら望月さん。」天を仰ぐ八巻…


新田は日高のスマホの復元を試みていた…


「太陽と月が入れ替わる時間だね。」無事にフェリーに乗った彩子と日高。もうじき日が暮れようとしていた…

警察に顔を見られたことで、彩子を心配する日高は、港で自分を捕まえるよう提案する。「じゃあ、全部本当のことを教えてくれる?いざという時、私は私をどう守るべきか判断出来なくなる。」全てを話し始める日高…。


奄美へ行く前日の夜、妻が倒れて行かれなくなったと東から連絡があり、一人で行くことに。機内誌で月と太陽の入れ替わり伝説を知り、自分が兄の人生になっていたかもしれないと思い、奄美では東朔也と名乗ったのだという。

奄美から戻ると、東は会社を辞めてアパートも引き払っていた。妻が倒れたというのは嘘で、父(浅野和之)が亡くなったのだった。結婚もせず、ずっと認知症の父の面倒をみてきたのだ。隣に住んでいた人の話によると、あの夜、奄美に行くと知った父が、母親のところへ行ってしまうと思い込み、息子を責めたはずみで階段から転落したのだ。


そして、あの歩道橋で再会。名前も仕事も変えて、新しくやり直そうとしていたところに、すい臓癌が見つかり、半年という余命宣告を受けたと聞かされた…。思わず、費用の面でも自分がサポートするから、治療法を探そうと言ってしまい、戸惑う東に…

「東さんと僕は兄弟ですよね?お父さんを抱えて、非常に苦労されてきたと聞きました。僕も一緒にするべき苦労だったのに…。だからもう、遠慮なんてしないで下さい。」

「じゃあ俺、クウシュウゴウになりたい。」

自殺した人の部屋で見つけたと『暗闇の清掃人』を見せる東。これを描いた人は本当に人殺しみたいだと。神奈川の官僚殺しの遺体の写真も持っていた。

「俺さ、こいつ殺した方が世の中の為なんじゃないかって奴、知ってんだよね。掃除屋だし、その漫画の奴みたいに最後はそいつら掃除して、この世からおさらばしたい。」

「そんなことしたら、東さんの周りの人は悲しいですよ。」

「大丈夫、そんな奴いないから。」

「僕が悲しいです!だから止めてくれませんか?」

涙ながらに訴える日高…だが、東は日高の胸ぐらを掴み…

「俺はお前の兄貴だよ、たった15分先に生まれてきただけの。でもそれだけで俺はこんな人生送ることになったんだよ。俺が四方のせいで夜逃げした時、やっと入れた会社で田所にいびり回されていた時、お前は何をしていた?久米に濡れ衣をきせられて、親父がボケて途方に暮れていた時、お前があの会社を創ったって、便所拭いてた新聞に書いてあったよ。こんなに違うのは何でなんだよ!俺がバカだからか?怠け者だからか?自己責任か?違うだろう、15分だよ。お前が15分先に生まれてくりゃ、お前の人生は俺のものだったんだよ!」

「これ以外なら何でもしますって!」

走り去る東。

「話し合いましょう、兄さん!ここで待ってますから。」


兄が残していった物をみて、何を考えているか見当はついたが、正直なところ出来ないとタカをくくっていたと話す日高。だが…ある夜、歩道橋に描かれた『2』という数字を見て、兄のリストと照らし合わせた。それが田所氏を指すのか、そもそも数字を描いたのは兄なのか、今からでも止められるかなど、あれこれ考えた挙句、田所氏の家に向かった。殺害された男性の遺体があった…本当に兄がやったのかと信じられなかったが、凶器の石やサンプルQなどが置かれているのを見て、兄が自分に迫っていると思ったと…共犯になるのか、赤の他人として通報するのか、好きにしろと。

15分違えば、自分がやっていたことだから、通報は出来なかった。そして兄の共犯となり、逃がすことを決め、現場の清掃をした。兄が残したゴム手袋が破れた為、自分の皮手袋をはめたのだった。

田所氏と兄との因縁は昔のことだから、神奈川の事件と同一犯だと思われれば、捜査は混乱する。先の短い兄はこのまま逃げ切れる。自分も田所氏との接点は全くない。万が一警察が目を付けたとしても、その頃には兄は亡くなっている。自分も逃げ切れるのではないかと思っていたと…。だが、彩子が早々と目をつけ、しかも入れ替わってしまった。それからはもう必死だったという。彩子には自分が犯人だと思わせて、一方で警察には日高陽斗が捕まらないようにして…。

でも、兄が一度の殺人では満足していないことを知り、先回りして捕まえようとしたが、それもダメで…しかもリストにはない人間を殺し、何を考えているのかわからなくなったと。現場に自分の乳歯が落ちていたことで、完全に行き詰まったと話す日高。


「それで私と入れ替わって、何とかお兄さんだけでも逃げ切らそうとした…」

「それも半分しか上手くいきませんでしたけどね。でも、これが『あるべき姿』なんですよ。」

殺された3人が兄にどんな酷い仕打ちをしようが、殺していい訳はない。人殺しは人殺し。兄も自分も間違いなく常軌を逸しているという。

「あなたは正しい。きっと私はあなたに捕まる為にスイッチさせられたんですよ。」

こんな誰を憎んだらいいかわからない話、意地が悪いと涙ぐむ彩子。


そこへ、陸に支えられた東が…。日高を見て驚く東を殴り倒す彩子。馬乗りになり、更に殴ろうとするのを、止める陸。そして兄を抱き起す日高。

「あんたはクウシュウゴウなんかじゃないんだからね!ちゃんといるんだからね!あんたのこと好きで、心配して、そうやって守ってやろうっていう人間が!あんたの為なら犯罪者にもなってやるっていう人が!…そんな人がいるのに、いるのにいないとか、寝ぼけたこと言ってんじゃないわよ!私はあんたを憐れんだりしない。今までどんな酷い目に遭ってきたとしても。どんな人生だったとしても。こんなに想ってくれる人を叩き落とせるなんて、あんたは正真正銘のサイコパスだから!」

陸に押さえられ、泣きながら訴える彩子。

「あの…この人?」日高に尋ねる東。「刑事さんです。」

彩子に近づき、悪いのは自分で、弟は何も悪くない、だから何とか出来ないかという東。

「だったら、初めからこんなことすんじゃねえ!」


その頃…奄美空港に到着した河原は、幅に連絡。鹿児島17時発のフェリーに当日予約で二名二組の乗船があり、その内の一人が30代の髪の長い女性だったと聞く。幅は、捜査本部からも現地の警察に応援要請がいったことを伝える。


「俺さ、あんな風に泣いたり怒ったりする彩子ちゃん、初めて見たよ。」甲板で話す彩子と陸。人の為にそうなるのは初めてらしい。日高の話は他人ごとという感じがしなかったのだと彩子は言う。「入れ替わっていたせいなのかな…?」「さあ、どうなんだろうね。」陸は彩子の気持ちに気づいているようだ…。


船室で日高に付き添われ、休む東。「俺、お前を解放しようと思ったんだよ。久米の家の前に刑事と一緒に居ただろ?」刑事にタレ込んだと腹がたったけれど、目が覚めたと言う。だから最後は自分一人だけで殺人を行った。そうすれば確実に自分だけがやったという証明になるだろうと。

「じゃあ、歯が落ちていたというのは?」日高の乳歯が現場に落ちていたと聞いて、慌てて財布の中を探す東。発作が起きて薬を飲んだ時に落としたのだと言う。「ダメですね…人間てホント身勝手で…」辛そうに呟く日高…。


「自分はどういう殺され方をしても構わないから、こいつだけは守ってくれ。」東の言葉を思い返す彩子。「あなたは正しい。きっと私はあなたに捕まる為にスイッチさせられたんですよ。」という日高の言葉も…

"あるべき姿って…"―思い悩む彩子


朝になり、到着まで30分となった。彩子は東の様子を見に部屋を訪ねる。船を降りる前に二人で彩子に捕まることにしたと言う日高。

「あなた、無罪になる気はない?お兄さんがそれでいいって言っているのなら。」それはダメだと首を横に振る。

その時、眠っていた東が苦しみ出す。船医を呼びに走る彩子。甲板にいた陸は、港に何台もの警察車両が待機していることに気づき、知らせに行く。

船医は居ないと聞いた陸は東に心臓マッサージを試みる。「師匠、頑張って!ダメだよ、ここで死んだら!ちゃんと自分がやったことを言って、クソったれって言われないと。」…「陸さん、もういいです。もう無理だと思います。」兄の手を握る日高。帰らぬ人となってしまったのだろうか?


フェリーが港に着き、河原たちが乗り込んで来る…。陸から警察が集まっていたと聞いた日高は、彩子に向かって両手を差し出し「早く僕に手錠を。早く!」「私は…」「陸さん、兄を頼みます。」果物ナイフを手にし、手錠を掛けようとしない彩子を連れ出す。

そして…「動くな!」河原たちの前で彩子の首にナイフを当てる日高。「下がれ!もっと下がれ!」

河原たちが引いたのを見て「僕を追って下さい。」と囁き、走り出す日高。

後を追う彩子、それに続く河原たち。

甲板から海に飛び込もうとする日高に、真っ先に追いついた彩子は「どうするかは私が決めるって言ったでしょ!」

「捕まるならあなたが良かった。二人して地獄へ行くことはありませんよ。」両手を差し出す。

切なそうに日高を見つめ「絶対に、絶対に助けるから。」

「待ってます。」…


追いついた河原たちの前で手錠をかける彩子。

「6時7分。日高陽斗、連続殺人の容疑で確保しました。」

「よう頑張ったな、猿芝居。」そう言って彩子に手錠を掛ける河原。

「望月彩子、犯人隠匿及び証拠隠滅の容疑で確保。」


一方、十久川一課長(吉見一豊)と五十嵐管理官に、彩子のことで話があるという八巻。

そして新田が修復を試みていた日高のスマホの電源が入る…。


まだ回収できない謎が…

①日高の陸に対する想い。

②アメリカの事件で何故容疑者になったのか。

③官僚殺しの犯人だという十和田は本当に自殺なのか?田口浩正を運転免許証の写真だけに使うことには違和感がある。

そして…

①八巻は何を話すのか?

②日高のスマホから何がわかるのか?


事件の真相が悲しく、切な過ぎる。誰を憎めばいいのかわからないという彩子の言葉にも、東に向けた怒りにも、共感した。日高のことを他人ごとに思えないというのは、彩子自身も気づかない内に魅かれているからだと思う。無実にするのは無理だと思うけど、救いのある最終回にして欲しい。








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