2021年3月29日月曜日

「天国と地獄~サイコな2人~」最終回のあらすじと感想

 彩子を庇い続ける日高の心を動かすのは…


女刑事・望月彩子(綾瀬はるか)と、猟奇殺人事件の容疑者・日高陽斗(高橋一生)の魂が入れ替わってしまうサスペンス・エンターテインメント。


奄美大島でようやく日高に手錠を掛ける彩子。だが、彩子も河原(北村一輝)に、犯人隠匿と証拠隠滅の容疑で確保されてしまう。

日高と東朔也(迫田孝也)を確保しただけだと言う彩子に「何もバレてへん思うたら、大間違いや。こっちは裏も取れてるからのう。」

そして八巻(溝端淳平)が、十久河捜査一課長(吉見一豊)と五十嵐管理官(野間口徹)に話しをしているところに、日高と逃亡を幇助していたと思われる彩子を逮捕したと報告が入る。


日高のスマホの復元をしていた鑑識では、日高がスマホを捨てる前に動画を削除していたことがわかる…。


一方、亡くなった東に付き添っていた渡辺陸(柄本佑)は、ベッドの下に落ちていたSDカードを見つけ、思わずポケットにしまう。


十久河と五十嵐から事情聴取を受ける彩子は、押収した証拠品だと凶器の丸い石を差し出す。日高から東の所へ案内すると言われ、両名確保の為に取引に応じただけだと主張。

「そんなお手柄な私が、何で手錠を掛けられなければいけないんですか!」

八巻が言っていることと同じだと十久河に囁く五十嵐。処分は免れ、始末書だけで済んだのは、八巻が先に事情を話していたおかげだった。


鹿児島警察にいる陸から電話が入る。河原から東のことばかり尋ねられたという。河原は日高よりも東を気にしているらしい。だが、東が死んだということは、日高は殺していないと証言する人がいなくなった訳だから、日高にとって決して良い展開ではないと言い、電話を切る彩子。

「日高、日高、すごいねー。」複雑な陸…


捜査会議で十久河は、東が死亡している為、日高を取り調べの上、連続殺人の主犯として送致の作業に入ると発表する。

両名の話から、主犯は東だということに間違いないと声をあげる彩子。十久河もその線で考えていたが、日高が3件すべて自分がやった、しかも単独犯だと自供したというのだ。彩子は自分に日高の取り調べをさせて欲しいと申し出るが却下され、河原が担当することになり、捜査会議は終了。

呆然と立ち尽くす彩子に「何考えてんですかね?日高。」と八巻。「私を守っているのかもしれない。全部自分がやったことにして送致されてしまえば、捜査は打ち切りになる。」打ち切りになれば、日高が彩子の身体で関与した跡は探られなくなる…。「望月さんへの罪滅ぼしってことですか?その為に殺人犯にまでなりますかね…」「そういう奴なのよ。東のこともそうやって守ってるんだから。」送致はさせない、ぶっ潰すと意気込む彩子。


河原の取り調べを受ける日高。被害者宅への侵入経路など、彩子と入れ替わっていた時に報告書を確認済みなので、スラスラと答える。防犯カメラのSDカードを抜いて、その後捨てたと言うが…彩子の部屋に保管されていた証拠品を思い返す河原。彼に嘘は通用しないようだ…。


東が犯人だという証拠を見つける為、鑑識を訪ねる彩子と八巻。田所氏はともかく、四方氏については日高にはアリバイがあるし、久米氏に至っては完全に東の犯行だと言う彩子。新田(林泰文)も同意見で、押収品の再確認をはじめ、事件を洗い直すよう指示する。そして彩子たちを連れ、東の家宅捜索へ向かう。


嘘の供述を続ける日高。一応辻褄は合っているが、河原は全く相手にしていない。そこへ、日高が久米氏殺害の供述に入りそうだと聞き、慌てた彩子が、駆けつける。

「焦らんでも供述確認は明日にした。俺も疲れたんでな。」何の矛盾もなく、単独犯で話を成立させている日高は、大したものだと言う。「やってもないのに。」…やはり河原は気づいていたのだ。

知っていて冤罪を作る気かという彩子に「誰かさんが腹くくれば済む話や思うけどな。誰かさんがあいつにひと言頼めば、済むことじゃないんですかね。」


凶器の石から東の指紋は出なかった。そもそも石には指紋が付きにくいらしい。石を包んでいた布からは、望月と日高の指紋が多数検出された。しかし事件現場から押収された物からは、やはり東の犯行を示す物は出て来ない…。


取り調べを監視していた五十嵐は、河原に声をかける。「何か企んでますよね?僕には言っておいた方が得策だと思いますよ。」日高がおかしな供述を始めたのは、警察内の協力者を守っているからだと河原。意味がわからない五十嵐に「その内、わかる。気に入らないのは、日高がそいつ一人を守る為に、みんなに知らせなきゃなんない真実に、蓋をしようとしているってことだ。あいつのどこにそんな権利があると思う?」


供述書を読んだ彩子は田所宅のSDカードに目を付ける。日高が隠していた証拠品の中には無かったが、東の家から押収してきた中にも無かった。そして…

「俺は彩子ちゃんを助ける為に生まれてきた。」丁度スマホのSDカードリーダーを購入しようとしていた陸に、彩子から電話が入る。日高の自供を伝え、東がSDカードを持っているのを見なかったかと尋ねる。

「何で?そんなやってもないこと言ってるの?」

「日高、私のこと守ってるの…多分だけど。捜査続行して変なことが出て来ないように犯人になろうとしてるの。」

思わずSDカードは見たことがないと答えてしまう陸…。

そもそも日高のように、いざとなったら罪を被るつもりでいない限り、証拠になる物は普通は捨ててしまうものだと納得する彩子。


日高のことを心配した樹里(中村ゆり)から、彼のことをどうか宜しくと電話で頼まれた彩子は、本当のことを喋るよう日高に言う決心をする。

そして、留置所の日高を訪ね…「あんたが私の時にやったヤバイことの証拠は、全部処理したから、もう大丈夫だから、本当のことを話して。」父親や妹、コ・アース社の人たちのこともちゃんと考えて欲しいと言う。「わかりました。ありがとうございます。」頭を下げる日高。「絶対だから。見てるからね、取り調べ。」日高の言葉が信じられないのか、何度も念を押す彩子。


供述調書の内容確認が始まる…隣室で様子を見守る彩子。五十嵐は特に問題はないからと十久河に退室を促す。何か意図があるのだろう。

やはり、供述調書に間違いないと答える日高。だが河原は「私の方にお聞きしたいことがあるんですよ。」とサインしようとする日高を止める。「お兄さんは無関係でも、この事件にはもう一人協力者がいますよね?…望月彩子。」

驚く彩子を観察する五十嵐。河原は彩子の部屋で見つけた証拠の品々の写真を見せる。

「これは本当なのか?望月。」五十嵐の問いに答えに詰まる彩子…。

「そりゃ出て来ますよ。僕が隠したんですから。」笑い出す日高。彩子がうるさく嗅ぎ回るからそうしたと。「女の部屋に忍び込んでか?」「そう、あなたと同じように。結構出来ちゃいますよね。」

「そうなのか?望月。」という五十嵐に「何か、そういうことみたいです。」そう答え、部屋を出て行く彩子…。

「頑固野郎!」壁を殴ろうとする彩子。そこへ、新田が大変な物を見つけたから直ぐに来て欲しいと八巻が呼びに来る。


東の自宅付近の防犯カメラに、犯行日やその翌日に同じパン屋の袋を下げた東が映っていたのだ。そこから東が利用していたネットカフェが判明。彩子は八巻に取り調べを見張るよう命じ、ネットカフェへ向かう。


相変わらず日高は、河原の彩子への疑いを晴らすよう、矛盾なく質問に答えていた…。


一方、東の遺体に付き添う陸は…「師匠、師匠も最低だったけど、俺も中々最低かも…」

そこへ身元引受人として、日高の父・満(木場勝己)が入って来る。「朔也くんが、お世話をかけました。」頭を下げる満に陸は「むしろあそこに居られて良かったです。」

彼が何かやらかしているのではと感じていたが、そこへ陽斗と女刑事が乗り込んで来て、その刑事に向かって全部自分が悪いから、自分がやったことにしてくれと言ったと話す。

師匠の最後の言葉を思い返した陸は「俺、何やってんだよ…」ポケットからSDカードを取り出す…鹿児島警察へ向かう。


彩子はカフェの店員から、東がSDカードを見たいと言い、手伝ったことを聞き出す。映っていたのは田所宅の防犯カメラの映像だったが、東に頼まれて店員が消去したという。落胆する彩子に、日高の供述確認が終わったと八巻からメッセージが届く。


「ここにサインしたら、本当に死刑台行き決定ですよ。」「わかっています、大丈夫です。」サインする日高…。


"終わったって、何よそれ…。何の為に入れ替わったのよ、私たち。どこの誰が入れ替わらせたのか知らないけど、こんな最後になるなら、私と入れ替わる必要なんて無かったじゃない"

悔し気に呟く彩子に鹿児島県警からメールが届く。添付された動画を開くと…


「今から動画を送るから、これ持って取調室に乱入して!」

八巻に電話で命じ、走り出す彩子。

動画を確認し、取調室へ向かおうとする八巻を五十嵐が止める。

「黙って見てろ。おそらく河原さんも望月も目指すところは同じだ。」


サインを終えたところに「調べて来たので日高に聞いてもらって欲しいんです。」と幅(谷恭輔)が資料を持って入って来る。河原が命じていたのだ。

資料を読み上げる河原。そこには東朔也のこれまでが書かれていた…

四方に負債を押し付けられ、朔也の父が所有財産の全てを失い、夜逃げ同然に上京。朔也は安全に暮らす場所を奪われた。

高校卒業後、就職した朔也は職場の上司である田所から強烈なパワハラを受け、うつ病を発症し、解雇。今度は安定した職を奪われた。

次に派遣先の警備会社で久米から濡れ衣をきせられ、また不当に解雇。人としての尊厳を奪われ、そして父親は認知症を発症。父親の死後一年も経たず、今度は自らが余命半年と告げられ、最後はやり直す時間さえ奪われた。

「サイコパスなお前は、お兄ちゃんにその死をプレゼントして回った。」

「はい。余りにも兄が惨めで可哀そうだったので。」

「じゃあ、なぜ又奪う?この殺人は、お兄ちゃんの声じゃないのか?立場の弱い人間がいかに容易く奪われ続けるか、そして立場の強い奴らも最後はこういう風に自らが奪われることにもなる。そんなことが言いたかったんじゃないのか!? やってることは人殺しだ。汚い聞くに堪えない声だ。でも、それでも声は声だ。お前にその声を奪う正義はあるのか?たかが女一人の為に。」

「ありますね。あの人を守ることは私を守ることですから。自分を守るのに理由なんて要らない。」


そこへ…東朔也の犯行を裏付ける新たな証拠が見つかったと、彩子が入って来る。

「この送致を完了すれば、警察は冤罪を作りだすことになります。これがその証拠です。」

「じゃあ、後は頼む。」

取り調べを彩子に託し、部屋を出て行く河原と幅。

「おまたせ。」そう言って微笑み、日高の前に座る彩子。

隣室で五十嵐、新田、河原、幅、八巻が見守っていた…。


彩子は、田所宅の防犯カメラから盗まれたSDカードの映像だと言い、動画を見せる。久米氏殺害の翌日に、ネットカフェのパソコンで東朔也が撮ったと思われるもので、画面に向かって話す東が映っていた…

「警察の皆さん、ちょっと具合も悪くなってきたんで、そろそろ記録を残しておきたいと思います。弟からも既に警察に通報がいっているかもしれませんが、田所、四方、久米を殺したのは俺です。俺は掃除屋なもんで、最後にこの世の掃除をしていきたいと思ったんですよ。この三人は俺が知る最悪のゴミで、綺麗にした方が世の中の為ですから。だから俺が殺した。」

この後、殺害方法や状況などについての告白が1時間以上続く、と彩子。そして3名を殺したのは東朔也かと日高に質問するが…

「いえ、私です。」否定する日高。

「あなたがやったのは死体の損壊だけ、東は半ば脅迫に近い形で計画に巻き込んだと言っています。」

「これは私が兄に頼んだんです。こういう告白を残してくれって。」

「へえー…そんな告白残してくれって頼んでおいて、今度は自分がやったと告白してるわけですか。その理由は?」

「気が変わったんです…」

「私は10歳の時、警察官になろうと決心しました。学校で濡れ衣をきせられたからです。その私が誰かが濡れ衣をきていくのを、見過ごしていいと思う?もしこれを見て見ぬふりをしたら、その瞬間私は私の正義を失くす。もう警察官をやるべきではないと、自分で自分に引導を渡すことになる。警察官は続けられない。同じなのよ、どっちだって辞めることになる。したでしょ?この話。頭いいくせにどうしてそんなこともわからないかな。あなたは私だったくせにどうしてよ?私に私の正義を守らせて。」

日高の目から涙がこぼれる…

「私を守りたいと思うなら、あなたは私の為に本当のことを言うべきでしょ。…日高陽斗、やったのはあなたじゃありませんね?違うわね?」

「はい…」


日高のスマホから削除された動画の画像は確認できず「あなたは私で、私はあなたです。」という声のみ…「何ですかね、これ?」という鑑識員に新田は「まあ、好きですってことじゃなーい?」と嬉しそうに答える。


帰宅する彩子。家の近くで荷物を持った陸と出会う。彩子は、日高のことはまだまだこれからだが、やれることはやったと報告する。

SDカードの映像を送ってくれたのは陸でしょ?と言われ、否定する陸。そして彩子を抱き締め、一つだけお願いしてもいいかと言う。

「ナッツは駅の向こう側のスーパーの方がお買い得だから、面倒でもこっち側のスーパーで絶対に買わないで。」

「わかった。」

「それだけは絶対に忘れないで。じゃあ、行ってきまーす。」

でも、陸は二度と帰って来なかった…。

嫉妬した自分に嫌気がさしたのか、日高を想う彩子と居るのは辛いからなのか…


そして事件は、東の犯行を裏付ける新たな証拠も加わり、東朔也は被疑者死亡だが3件の殺人容疑、日高陽斗は証拠隠滅2件、死体損壊2件の容疑で送致された。


日高は3年の実刑判決で刑務所へ、彩子と、何故か八巻は警察学校へ。気が進まない辞令だったが、教官という仕事は彩子の肌に合っていた。


出所したはずの日高から連絡がないまま月日が過ぎ…2025年1月、日高からの電話で、あの歩道橋へ向かう彩子。満月の夜だった…。

「話って何?」「これです。」奄美の丸い石を渡す。母の形見だからと父が警察にお願いして凶器の石をもらい受けたと言う。

「元はこんな綺麗な石だったの?」月明かりに石をかざす彩子。花の絵が刻まれていた。「これがシヤカナローだったりして。」

今になって思うと、あの入れ替わりは母の願いだった気がすると日高。際限なく間違っていく息子二人を何とかしてくれ、ちゃんとあるべき姿に戻してくれと、母が彩子に頼んだのではないかと。

「入れ替わったのがあなたで良かったです。だから本当にありがとうございました。」頭を下げる。

「私はありがとうとまでは言えないけど、まあ、でも、あなたで良かった。」

石は兄のお墓に入れると聞き、また入れ替わっても困るからねと賛成する彩子。そして日高に返すと何故か石が光り…


「じゃあ、お元気で。」「あなたも。」

入れ替わっていた時の二人の話し方だ (◎_◎;)

お互いを振り返る二人…


どうしてまた入れ替わった!?

最後に彩子<日高>が「とりあえず、今お勤めどちらですか?」と聞くところが、またあの入れ替わり生活を思い起こさせて可笑しい。

9話で彩子が東を殴りつけた気持ちが、痛いほどわかる。確かに辛い人生だったが、あんなにも優しい弟を巻き込むべきではなかった。社長と派遣の清掃人という関係で、共に過ごしてきた時に、そんなことはわかっていたはず。本当にやり切れない事件だった。


結局、何と田口浩正は運転免許証の写真のみの出演だった。そして日高のアメリカの事件も、冤罪だったのだろう。最後に残った疑問は、日高は陸を好きだった?ということ。彩子と入れ替わっていた時の彼の行動は、完全にそう見えた。陸はどう思っているのだろう?

重いテーマにも関わらず、飄々とした陸とおっとり八巻に癒されたし、日高になった彩子に笑わせてもらった。とにかく綾瀬はるかと高橋一生の演技に感服!すごく見応えのあるドラマだった。もうあの二人に会えないのかと思うと淋しい。



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