2021年12月24日金曜日

「最愛」最終回 受け入れがたい悲しい真実…

まさかあの人が犯人とは!


過去の失踪事件が現在の殺人事件へと繋がっていき、かつて両想いだった梨央(吉高由里子)と宮崎大輝(松下洸平)は重要参考人と刑事という立場に…。


『真田ウェルネス』の寄付金詐欺について、梓(薬師丸ひろ子)が一人でやったことだと会見を開き、その足で警察に出頭した。

テレビでその様子を見ていた後藤(及川光博)は、自分がやったことだからと梨央が止めるのも聞かず、出頭しようとして揉み合いになり、階段から転落してしまう。


最終回は梨央が『真田ウェルネス』従業員に宛てたお詫び文書のナレーションで始まる…

"従業員の皆さま、この度のことで皆さんを不安にさせてしまって申し訳ありません。私の母、真田梓は詐欺容疑で逮捕されました。

後藤専務は命に別状なく、病院で治療を受けています。警察に事情をお話ししたところ、転落事故として処理されることになりました。

会社の信用を一日でも早く取り戻すこと、それが今皆さんにできる私の償いです"


梓と会っていたことを確かめる為、藤井(岡山天音)を呼び出した大輝は逆に「15年前、あの台風の夜、本当は事件現場におりましたよね?」と質問を受ける。鋭い目で藤井を見つめ返し「そっちの事件はもう終結しとるやろ。」とひと言。

殺人は優(高橋文哉)が嫌疑不十分で立件されず、死体遺棄は達雄(光石研)死亡の為、不起訴で終わったが、調書を読んでどうしても引っ掛かることがあると言う。

康介(朝井大智)は犯行時自分で調合した違法な睡眠薬を使っていて、被害者は個人差はあれど5~6時間は昏睡状態に陥っている。梨央も目を覚ました時は家で寝ていたと言っているが、昏睡した梨央を運んで、遺体を山の中へ遺棄、現場の証拠を消す…一人では無理だと思わないかと言う。「達雄さん一人に罪を被せて、自分は罪を逃れたままおったんなら、許せんことです。」それで今も調べ続け、梓に会ったのもその為で、関係者に話を聞いて回っていると…「そしたらまだ隠し事しとる奴がおったんですわ。」

その時、元マネージャーの青木(水崎綾女)が店に入って来る…。あの夜、水を飲みに1階へ降りた時、誰かが外に逃げて、達雄と話していたと話す。

「誰かおったんですよ、もう一人。あの晩、寮で達雄さんに手を貸した誰かが。」大麻をやっていた連中は酔い潰れててシロ。飲み会に出かけていた自分達もシロ。寮に出入りが出来てアリバイの無いのは大輝一人だと藤井。大輝は姉の結婚式で大阪にいたというが、親族の証言は効力が薄いと相手にしない。

「俺やないって。」「じゃあ、誰なんですか?梨央ちゃんと優の為なら達雄さんに手を貸すもん、犯罪も躊躇わんもん。」丁度、テレビでは梓の会見の様子が報じられていた…「もう一人おりましたが、犯罪も躊躇わんもんが。」

すると青木が、あの夜厨房にあった瓶を持って帰ったと言い出す。それは今も実家にあると…。思わず顔を見合わす藤井と大輝。「指紋、取れんやろか…」


一方『真田ウェルネス』では、加瀬(井浦新)が今回の件への対策について梨央に報告していた。グループ全体の企業価値をこれ以上下げない為に出来ることは二つ。一つは梓の社長辞任。もう一つは不正の温床になった『真田ウェルネス』の事業体制の見直し。体制が変わったことを利害関係者にアピールする為に、創薬事業を他社に売却することも選択肢の一つだが、そうすると新薬の開発を譲り渡すことになる。厚労省から業務改善命令が出る前に改善案を明確にしようと提案する。


青木から薬の瓶を受け取る大輝。それを証拠に康介を訴えようか迷って、ずっと持っていたと言う。「でも結局出来んかった。バカなことして自分誤魔化して、忘れることで精一杯だったわ。」「辛いこと思い出させてまって、ホントにごめんな。」頭を下げる大輝。「そういう仕事やろ。事件、解決せんとね。」「解決して、巻き込まれてまった人たちに、安心してもらいたいと思っとる。辛い目におうた分、人の何倍も幸せになって欲しいと願っとるよ。」白川郷で確保される時の優と梨央の泣き顔を思い出す大輝。栞(田中みな実)にしても青木にしても、康介の罪は大きい…


捜査本部では係長の山尾(津田健次郎)が、梓が殺人事件について黙秘を続けていると報告。昭(酒向芳)の事件=芝池は、息子康介の死体遺棄事件=富山に家族の関与が疑われることの口封じ、橘栞=池尻については会社の不正に対する口封じと殺害の動機は十分にあると言う。

大輝は桑田(佐久間由衣)に、富山の事件に共犯がいるかもしれないという証言があったことを伝え、青木から預かった薬の瓶を渡し、鑑定を依頼する。桑田も捜査本部が共犯の線で追っていることを報告。遺留品のペンを持っていなく、芝池と池尻の両方にアリバイが無いのは梓だと。会見を見てどう思ったかと尋ねる大輝に「わからなくなりました。一見本当に潔白そうに見えたんで。共犯を疑うにしても…」「池尻には全員アリバイがある。」…私も会見であそこまで言い切るなら、真田家の人間は関与していないと思った。


栞の葬儀でお焼香をあげる梨央。大輝も参列していた。その帰り道、お互いに近況報告を交わす…大輝は生活安全課に異動し初心に帰った気分だと言い「困っている人を助けたい、だから刑事になったんや。」「私も最初は優を何とかしたくて就いた仕事だった。社長になるなんて考えもせんかったわ。ただ薬を創りたかった…」俯く梨央を元気づけようと「ボケっとしとらんで仕事戻れ。」「戻るさいわ、言われんでも。」梨央に笑顔が戻る。落ち着いたら二人でこれからのことを考えようと約束する。


入院中の後藤に会いに行く梨央。彼は自分の罪を梓一人が被っていることに心を痛めていた。「母は不正を黙認していたんですよね?経営者として潔白じゃないと、母自身もわかっていると思います。」「私も会社に戻るつもりはありません。居場所はもう無いんだ。」…「聞いてもいいですか?橘さんのことです。」「殺していません。私は不正を隠し通せても、殺人を隠し通すことは出来ない。」…「後藤さんの力が必要です。大事なご相談があります。」

そして社に戻って加瀬にも相談したいことがあると言う。


数日後…梨央は馴染みのもんじゃ屋に兄・政信(奥野瑛太)を呼び出す。梓の代わりに自分が逮捕されても良かったのだと言う政信に「グループのトップが責任を取ることに意味があるの。」と梨央。「母さんの後任、どうするの?梨央がやるの?」「外部の人に任せることにした。」驚く政信に、大事なのは会社の価値をこれ以上落とさないこと、信用を取り戻すことだと話す。一番いい方法は創業家全員が経営を離れることで、自分も政信も社長を辞任して経営権を放棄すれば、真田グループの不信感を払拭できると言う。

そこへ外出許可をもらった後藤が入って来て、後任候補や政信が辞任した場合としなかった場合の企業価値評価のデータを見せる。…梨央の提案を受け入れる政信。


梨央から社長を辞任すると聞き、驚く優にそれが最善策だと説明する加瀬。薬のことを心配する優に、梨央は誰にも何処にも渡さないと答える。そして梓に面会に行き、ちゃんと話をして来ると。「親子として話してみて。部下には出来ないことだから。」と加瀬。「前からそうしてたら、今みたいなことにはなってなかったかもしれないね。」


ここから暫く大輝のナレーションで話は展開していく…

"梨央は社長を退くことで会社を守った。経営から身を引き、一人の社員としてやるべきことを続けた。真田梓は詐欺罪で起訴された。殺人容疑については黙秘を続け、芝池公園殺人事件の捜査は手づまりに陥った。共犯の疑いがある者(後藤、加瀬)への捜査は続いたが、彼らの行動に不審な点は認められず、死体遺棄事件の共犯者を辿る糸も切れた"

薬の瓶からは不鮮明な指紋しか見つからず、DNAも出なかったことを藤井に報告する大輝。

"橘栞の転落死も事件性は無しと判断され、捜査は打ち切られた"

山尾が本部を出て昇進したことを大輝に訴える桑田。散々人を利用して事件は未解決なのに、警察の人事はどうなっているんだと怒る。「桑子も上行きたかったら見習えよ。」「嫌です。最後の一人になっても解決諦めません。」

"事件に留まる者と離れる者がいた"

桑田は刑事部長に昇進した山尾に、彼の弱みをネタに、大輝を捜査一課に戻すよう働きかける。

"未解決の事件は、いつまでも心に引っ掛かる。未来を絶たれた人たちの顔が忘れられなかった"

2022年冬、大輝の捜査一課への復帰が決まる。


栞の転落現場を訪れた大輝は、花を供え手を合わせる栞の母(浅田美代子)と出会い、声を掛ける。

母は、大学時代に栞が自殺未遂をしたと警察に話したことを後悔していた。事故扱いになったと聞き、もっと調べて欲しいとお願いしたが、受け入れてもらえなかったのだ。力になれず申し訳ないと頭を下げる大輝に「私がもっと娘の支えになってあげれれば良かった。何て言うか、あの子いっつもつまらなそうな顔をしていました。」仕事に没頭していたのは、栞なりの『逃げ』だったと思うと言う。何かに打ち込んでいれば、嫌なことは忘れられるからと。栞がメンタルクリニックに通っていて、病院をどんどん変えて、薬も変えたと聞いて心配していたと聞き、再び法医学教室を訪ね、事故の直前に新しく処方された薬のスクリーニング検査を依頼する。

薬の種類を聞いた教授は、薬を変えたことで発熱などの副作用が出ることを指摘。もし発熱していたら、死亡推定時刻が変わってくると言う。


桑田と検証する大輝。栞の尿から検出された成分も、発熱していた可能性があることを示していた。仮に平熱より3度高かったと仮定すると、死亡推定時刻が2~3時間前倒しになる。午後6時~7時にアリバイが無い人物は…辛そうな表情の大輝。桑田は周辺の防犯カメラをあたり、大輝は『真田ウェルネス』へと向かう。その日は新薬の承認結果が出る日だった…。


防犯カメラを確認した桑田は、ある人物を特定し、芝池の現場付近にあった足跡痕の一つと推定身長も一致すると大輝に連絡。「昭さんとも橘さんとも直接の接点は無し。でも、もし富山の事件と関わっているとしたら…」タクシーの中で電話を受ける大輝の表情が何とも言えず、嫌な予感しかしない。

そして誰かに電話を架ける大輝。着信が鳴る中、梨央の名前が刻まれた赤い手帳が映し出され、定員が配送の準備をすると言っていた…


その頃…創薬ラボ所長の海野(峯村リエ)から薬が承認されたと報告を受ける梨央。海野と抱き合い、涙を流す。祝賀パーティの準備には優も来ていた…


固い表情で電話に出る加瀬…「宮崎です。」「ご無沙汰しています。ご用件は?」聞きたいことがあって会社へ向かっていると言う大輝に、ショッピングモールを歩きながら「お電話で良ければ。」と答える加瀬。

「富山の死体遺棄事件のことです。朝宮達雄さんとは、いつからの知り合いですか?」「さあ、いつからか覚えていません。」

加瀬の電話から聞こえるアナウンスで、居場所を特定した大輝は、運転手へ行き先を変更するよう伝える。そして桑田達捜査員も、加瀬のいるショッピングモールへと向かう。

「朝宮さんには何度かお会いしただけですが、あれ程家族を思う人を私は他に知りません。」

ドラマのオープニングとラストに毎回出てくるブラックボックスが開く…ここからの演出が素晴らしく、見ていてゾクゾクする。


あの台風の夜…梨央の大学進学後の東京での生活について、梓の代理で達雄と会う加瀬。そこへ優(柊木陽太)から電話が入る。「お父さん、早く帰って来て!姉ちゃんが全然起きん。男の人が…男の人を刺してまった!」

寮に戻った達雄に抱きつく優。その先には意識を失った梨央の上に覆いかぶさる康介の姿が…思わず叫び出す達雄。達雄に同行して来た加瀬が康介の脈を確認し、電話を架けようととすると…「見んかったことにして下さい。」達雄が止める。「でも、でも、でもお嬢さんが…救急車を呼びます!」「怪我はしとりません。」そしてパニックを起こしている優に「優!お前は何もするな。父さんが何も無かったことにするでな。」「息子さんは刑事未成年、殺人の罪には問われません!」「いかん、いかん、優を人殺しには出来ません!」「少年法がプライバシーを守ってくれます!」「法律の物差しで言わんで下さい!私は、私は家族の話をしとります!子供がやったことだからいうて、世間では言い訳にもならん。通らんのですよ!この子らを晒しものには出来ん。お願いします!お願いします!」

今度は昏睡する梨央に呼びかけ「父さんが助けるでな。」と何度も繰り返す…

達雄の熱意に負けた加瀬は電話をしまい「お嬢さんは私が。朝宮さんは息子さんを…」…手を貸すことを決めた悲しい瞬間。あの状況で警察を呼べる人はいるのだろうかと思うほど、悲惨な現場だった…


二人を家に連れて帰り、梨央を布団に寝かせ「ごめんな、ごめんな。」と頭を撫でる達雄。受験票などを机の上に並べる優。そんな優を抱き締め「お姉さんを守ったんですね。」と背中をさする加瀬。この頃から加瀬は優を守ってくれていたのかと感無量。

そして達雄と共に康介の遺体を山へ埋めに行く…。康介の手から、あの日大輝が梨央に渡したお守りが落ちる…


「2006年9月21日深夜、どこにいましたか?」

加瀬との電話が続く中、大輝も桑田たちもショッピングモールに到着。

「東京にいたと思います。」「岐阜には?」「行っていません。事件が起こった日ですよね?あの日さえ無ければ、家族は幸せだったのに。」


薬の承認を喜び抱き合う優と梨央。「なあ、加瀬さんはおらんの?」優に聞かれ、パーティー会場を見渡した梨央は不安になる…


そして、大輝たちの姿を確認する加瀬…

「2021年8月3日夜、自宅にいらしたんですよね?」「ええ。深夜12時頃帰宅しました。」加瀬の姿を探すが、中々見つけられない大輝…「それを証明できるものはありません。渡辺昭さんに会ったことは?」「事件の前、会社を訪ねて来たとは聞きました。」

再びブラックボックスが開く。


梓の社長室で例のペンを拾った加瀬は、何気なく内ポケットにしまう。きっと後で返そうと思ったのだろう。そこへ梨央が芝池公園の近くで下車したと連絡が入り、公園へ向かう…そして池の側に横たわっている昭を発見する。

どうしたのかと声を掛けると、警察に連れて行ってもらえないかと言う。「息子を殺した男を見つけたで。弟やったんや。年も合うで。寮におった一家が康介を殺して埋めちまった。」泣きながら訴える。「何で康介が殺されにゃいかんのや」「酷いことを、しようとしたからです。」感情を抑え答える加瀬。「たかが、チョッコっと、チョッコと悪戯しただけやないかー。悪いのは誘って来る女の方や。何で康介が責められなあかんのや。」耳を疑うようなこの発言に加瀬は「あなたの息子のせいで!真面目に生きている人たちの人生が狂わされた。不本意な不幸を受け入れるしかなくなった!」昭の襟首を掴み「将来を奪われて、一生の苦しみを背負わされたんです!命を奪われるのと、どう代わりがあるんですか!」加瀬の怒りは当然だ。「康介にも将来があったんや。警察に、警察に知らせんと…」起き上がり、歩き出す昭。加瀬の表情が変わる…

昭の首を掴み、突き飛ばす加瀬。池の中に落ちた昭は、石に後頭部を打ちつける。自分も池に入り、まだ意識のある昭を押さえつける加瀬。昭は加瀬の内ポケットにあるペンを掴む…。昭の言葉は、康介のせいで理不尽に苦しんできた人たちにとって、許せない言葉で、逆上しても仕方ないと思った。


「あの晩、どこにいたんですか?」大輝の問いには答えず「父親は息子を盲目に愛したまま死んでいったそうですね。ある意味、幸せだったんじゃないですか。」と加瀬。そこで加瀬の携帯に別の着信が入る。梨央だった…

「加瀬さん、どこにいるの?ここまで長かったね。みんなの喜んでいる顔、加瀬さんにも見て欲しい。ホントに嬉しいよ。優も待ってる、早く来て。」伝言を吹き込む梨央。

梨央からの『承認されました 早く来て!』というメールを確認し、感無量の加瀬。とても嬉しそうな表情をした後、淋しそうに俯く…

館内の防犯カメラをチェックしていた桑田は、加瀬が3階にいることを確認するが、その後カメラの死角に入ってしまう。報告を受け、3階へ走る大輝。

「2021年10月21日18時から19時の間、どこにいましたか?」「18時?」「誰かと会っていましたよね?」「いいえ。」

3つ目のブラックボックスが開く。


栞に会いに行く加瀬。ビルの踊り場で話をする…

「真田梨央の弟は人殺し、父親は死体遺棄、会社は不正を行っている。真っ黒じゃないですか。」ゲラを見せる栞。「それを出さない代わりにどんな条件でも飲みます。」「だから私、お金なんて要らないんです。」「何をお望みですか?」「私は…必要とされてるって、誰かの役に立ってるって実感が欲しいんです。」「どうか、薬が承認されるまで待って下さい。」「罪を犯した人間は報いを受けるべきなんです!」「その薬で多くの人が救われる、無事に薬が出来るまで、それだけを考えて動いてきたんです!お願いします!」土下座する加瀬。「この記事出して、世の中は不公平じゃない、公平だって、自分にも真田梨央にも教えてやりたい。」栞の手を掴む加瀬。「社長はあなたが考えるほど幸せじゃありません!何も手にしてません!」加瀬の手を振りほどこうとしたことで、ゲラが栞の手を離れ空に舞う…それを掴もうとして足を滑らせ、転落する栞。慌てた加瀬は階下に駆け下り、救急車を呼ぼうと携帯を取り出すが…電話は架けず、散らばったゲラを集める。

(世界がいい方へ変わっていくのが見たくて、梨央の夢にのった加瀬。新薬を世に出す為に、彼もまた心血を注いできたのだ。こう言っては申し訳ないけど、栞個人の梨央に対する偏見で、多くの人が救われる機会を失うのは、どうかと思う。私は栞は自殺なのかなと思っていた。梨央と話して、彼女が失脚することを伝え満足したのか、そんな自分に嫌気がさしたのか、それで編集長にパソコンを渡して自ら命を絶ったのかなと。憎むべきは康介で、梨央と自分を比べても仕方ないのに…)


「聞きたいのは橘栞さんのことですか?」「そうです。」「弊社に悪意を向けていたようですが、事故で亡くなったと聞きました。…用件は以上ですか?」…「何で一線踏み越えた?踏み越えてまったら、戻って来られんやろ!」「戻るつもりはありません。」「あんだけ信頼されとって何で…」「法律では守れないものがあるからです。」

桑田からエスカレーターの近くにいると無線が入る。階下へ降りる加瀬らしい姿を認める大輝。

「私が思うことは一つしかありません。二人には一点の曇りもない人生を送って欲しい。…それだけです。」


お祝いの席で幸せそうに笑う梨央と優…


電話をしながらショッピングモールを出ようとする男性を桑田が確保するが、人違いだった。いつの間にか、加瀬はもうショッピングモールの外にいた。

「どこに逃げようが、逃げ切れんぞ。」「この日が来るのは、あの日からわかってました。」「二人にとって、お前がおらんくなることが、どういうことかわかっとるか!?」「頼みましたよ、宮崎さん。ようやく手に入れた二人の幸せを壊さないでやって下さい。」


加瀬との会話が終わった時、大輝個人の携帯が鳴る。梨央からだった。薬が承認されたことを嬉しそうに報告する。「とうとうか…。長かったな。…おめでとう。」泣きそうになり言葉に詰まる。大輝の複雑な気持ちが伝わってきて胸が痛い。「梨央…幸せか?」「こんな幸せな日はないわ。」その言葉を聞き「そっか。」涙を流し、辛そうに俯く大輝。


加瀬の机の上には退職届が置かれていた。加瀬のナレーションが流れる…    

"一つの目標を達成した今、次の目標に向かいます。人生最良のこの十六年間に感謝します"


梨央の新薬はニュースでも取り上げられ、認知症など回復が困難な疾病の治療薬としても期待されていた。


梓に面会した後藤は、一連の殺人事件の梓への疑いが晴れたようだと伝える。週刊誌が梓の自宅を盗撮した写真が出て来たと…。「アリバイ、証明されちゃった。」「もう黙っていなくともいいんです。失くしたペンは見つかりましたか?」「あれはね、あげたの。だからね、探さないで。そのままにしといて。」「…私は自分の罪を告白しようと思っています。」声を潜め「いいのよ。」と梓。でも、秘密を抱えて生きる人生を受け入れるのは難しいと言う。…梓は加瀬の犯行に気づいていたのだろう。だから黙秘を続けていたのか…


加瀬から送られた手帳を手にする梨央。梨央のナレーションが流れる…

"加瀬さん、今どこにいますか?あれから事件がどうなったのか、あの人に尋ねても捜査情報は話せないと教えてくれません。嘘はつけない人だから、私に隠していることがあるのは確かです"


捜査本部では桑田が、足跡痕と防犯カメラの映像で指名手配できないかと山尾にこぼしていた。証拠はないし、見つけて自供を取るしかないと山尾は言う。


"優は将来の夢に向かっています。どうして私たちの前からいなくなったのか、話せる日が来たら戻って来て下さい。どんな事実でも私たちは受け入れる覚悟です。加瀬さんが無事でいてくれることの方が、私と優には大事です。どうか元気でいて下さい"


大輝と達雄の墓参りをする梨央。優には今まで大変だった分、好きなことをして欲しいと話す。そして自分は十分幸せだと。前より何もかもが明るく見えると言う。

「大ちゃんは幸せ?」

「俺はお前が笑っとるのを見てれば、それでええ。」

「簡単やな。」

「簡単やわ、俺は。」

笑った後、急に真顔になって

「大ちゃん、私なんとなくわかっとるよ。加瀬さんのこと。」

「…何のことや。」

あくまでも白を切るつもりのようだ。そして手を繋ぎ、歩き出す二人。梨央の手を自分のポケットに入れると

「小っちゃい手やな。」

「暖っかい手やな。」


見応えのある、そして見事な最終回だった。とにかく演出が素晴らしい。3つの事件の真相…自分が加瀬の立場でもそうしていたかなと思ってしまう程、どれも仕方なく、切なく、悲しい。

そもそも康介は性犯罪者で、その為に多くの人の人生が狂わされた。なのにその父親は息子の非を認めず、逆に被害者を貶めた。そして被害者の一人である栞の歪んだ嫉妬心?彼女のことは本当に気の毒だと思うが、やり場のない怒りをぶつける場所を間違えていると思う。三人それぞれが身勝手だと感じた。

詳しい状況は加瀬しか知らないことだけど、もし大輝が経緯を知ったら、どうしただろう?そしてあの台風の日、大輝が加瀬の立場だったらどうしただろう?


梨央、大輝、優の三人に、あの事件の前のような幸せな日々が戻って来ることを心から願っていたので、満足だったけれど、そこに加瀬もいて欲しかった。

これから加瀬はどうするのだろう?死を選択せずに生きていて欲しい。


ただ私の中に解決しない疑問が2つ残った…

①プロデューサーヒントで、優が子ども時代に首から下げていた物が鍵と言っていたが、どういうこと?最後までわからなかった。

②昭が会社の不正を知っていたとは思えないが、なぜ後藤は彼に5百万も渡したのか?康介の事件への梨央たちの関与を隠したかったから?


そして多くの視聴者がそうであったように、藤井には完全に騙された!達雄が亡くなった後、梨央の家を訪ねたあの演出と、岡山天音の感情を読み取りづらい演技力にしてやられた。

他にもスーツケースを引いて歩く後藤や、藤井から台風の夜のことを質問された時の大輝の表情なども「もしかして?」と次の放送までハラハラドキドキ。本当にこのコンビのドラマは凄い。演出が最高。素晴らしい作品をありがとう!次回作も楽しみにしています。















2021年12月12日日曜日

「最愛」第9話のあらすじと感想

まさか大輝が!?


過去の失踪事件が現在の殺人事件へと繋がっていき、かつて両想いだった梨央(吉高由里子)と宮崎大輝(松下洸平)は重要参考人と刑事という立場に…。


渡辺昭(酒向芳)の遺体と共に発見された『ウェルネスホーム』のオープン記念のペンの持ち主は、梨央、梓(薬師丸ひろ子)、政信(奥野瑛太)、後藤(及川光博)、加瀬(井浦新)の5人だということがわかった。


9話は梓のナレーションで始まる…

"創業者である祖父が言っていた。経営に必要なのは情熱だと。あの子はそれを持っている。30年前、もみじのような小さな手を無邪気に振っていた彼女は、今、大きな夢をその手に掴もうとしている。彼女の為、会社の為、私のしたことに後悔はない…"


梓からペンの持ち主について聞いたところへ、優(高橋文哉)の治験の様子を見に加瀬がやって来る。梨央がペンを持っているか尋ねると…加瀬は持っていると鞄からペンケースを取り出すが、その中には無く、鞄の中を掻き回し、ようやく見つける。一方梓は気に入っていたのに見当たらないと言う。疑いの目を向ける梨央…


杉並西署に大輝を訪ねて来た藤井(岡山天音)。大輝は誰と電話をしていたか聞かれ、梨央だと答える。「へえー、仲良くしとるんですね。」意味ありげな表情の藤井。大輝が仕事でまたこっちに来たのかと尋ねると「まあ…ちょっと…」歯切れが悪い。迷うように下を向いた後「あの…」何か言いかけたところへ人が入って来て、言葉を飲み込む。そして何でもないと、行ってしまう…


捜査本部では、桑田(佐久間由衣)が記念のペンについて山尾係長(津田健次郎)に報告。大輝からの情報だと聞き、喜ぶ山尾。持ち主5人のうち、昭の事件当日のアリバイが無いのは、梓、後藤、加瀬だった。


政信が社長を務める『真田ビジネスサービス』の創業30周年記念パーティーが開かれる。出席した梨央と加瀬に、栞(田中みな実)が記事を持ち込んだ週刊誌の編集長が近づき…明日発売の『週刊討論』に『真田ウェルネスの寄付金詐欺と記者の不審死』という記事を載せるとゲラを見せる。栞から預かったPCに入っていた原稿で、身の危険を察知して自分に託したのだろうと言い「この連載は第二弾、第三弾も控えています。我々はあなた方のくすみを徹底的に追求しますので。」それだけ伝えると会場を出て行く。

スクープ記事の反響は大きく、梨央の会社はネットで叩かれる…


栞の司法解剖が終わり、死亡推定時刻が午後9時から10時に絞られた。梨央のアリバイは裏が取れていたので、他の4人のアリバイを確認しに行く桑田。


その頃、記事のことで梓の社長室にペンの持ち主5人が集まっていた…

後藤を責める政信を制する梓。頭を下げ、謝罪した後藤は、栞がほぼ全貌を知っていたと…。連載を差し止めるよう交渉すると言う加瀬に梨央は「こうなった以上、説明する義務がありますよね。」すると梓が「週刊誌の記事にいちいち反応してたらキリがないでしょ。それに…今目立つことをしたら、薬の申請に影響が出るかもしれない。」「でもせめてホームの入居者の方々には謝罪した方が…」と梨央。「お預かりしていたお金は、ちゃんと愛護団体に寄付しておいたから、それで問題ないでしょ。」沈黙が流れる…。

気分が悪くなり、倒れた後藤に加瀬が付き添い…眠っている後藤に「居場所は守りましょう。」と呟く。

社長室に残った3人の元へ、桑田が訪ねて来る。記念品のペンを今現在持っているかと聞かれ、ペンをもらったこと自体覚えていないと政信。梓は「どこかにあるとは思うんですけど…」ハッキリしない…「今はお持ちでないということですね。どこかで落とした可能性は?」「ちょっとわかりません、ごめんなさい。」

次に10月21日の午後9時から10時の間、どこに居たかを尋ねる桑田。その日に何かあったのかと聞き返す政信に対し梓は「橘栞さんがお亡くなりになった日ですよね、雑誌に出てました。」彼女と面識があるか聞かれると、新聞社に勤めていた頃に何度か会ったと答える。政信は面識もなく、その日は出張で大阪にいたと言い、梓は家にいたが、証明出来る人はいないと…


梨央がエレベーターを待っていると、玉子サンドを渡すのを忘れたと梓がやって来る。戸惑う梨央に「好きだったでしょ。あなたがまだ白川にいた頃、年に一度一緒にランチしてた時に…」「お母さん、橘栞さんと最後にいつ会った?」「さあ、いつだったかしら…忘れちゃった。」「橘さん、私の家に何度も来てた。お母さんの所へは来なかった?」「来てないわ。」微笑む梓。その笑顔はどこか淋しそうに見えた…梨央がずっと疑うような目を向けていることに気づいているのかもしれない。

梓と別れた後、「今夜、会えんか」と大輝からメールが入る。仕事が終わったら連絡すると返信。


署の前で山尾が大輝を待っていた。ペンを持っていなくて、昭と栞の両方の死亡時にアリバイが無いのは梓だけだと言う。だが昭殺害を一人でやったとは思えないと。情報を回してもらえると有難いと言う山尾に「自分は捜一を離れた人間です。」きっぱり断っているのに「ここはお互い協力してこうや、なー」と笑う。ニヤけた態度に油断ならない何かを感じる。


その夜…梨央の馴染みの店で会う二人。ペンを返す大輝に、梓の所へ警察が来たことを話す。「警察はお母さんのこと疑っとるんやよな?」「関係者のことは全員疑うのが警察の仕事やでな。」溜息をつく梨央…「優が帰って来て、治験を受けられるようになって、これから普通の生活を送りたいだけなんやよ。…だのに何でこんなことになってまったんやろ。…大ちゃんはこれからのこと考えようって言ってくれたけどな。けど…」何も言えない大輝…


寄付金詐欺のネットニュースを見て、心配する優。だが、梨央の前では明るく振る舞い、大学受験にも絶対合格すると言う。


『週刊討論』出版社の広告主の協力を得て、連載を止めることが出来たことを梨央に報告する加瀬。梓にも既に報告済みと聞き「お母さん何か言ってた?記事を止めても、不正は事実でしょ…」梨央の様子をみて心配した加瀬は、何を考えているのかと優しく尋ねる。梓が"ちゃんと寄付したのだからそれで問題ない"と言うのを聞いて、梓のことを怖いと思ったと打ち明ける。「誰かの正義は、誰かの悪。梓さんが信念を持って頑張ってきたことは知ってるよね?…一度梓さんとゆっくり話してみたら?」溜息をつく梨央。


そんな中、藤井らしき人物と梓が会っているのを、偶然目撃する大輝。どうして藤井と梓が?15年前の渡辺康介(朝井大智)の事件と関係あるのだろうか?


今度はテレビで『真田ウェルネス』の寄付金詐欺疑惑や、事件を追っていた記者が死亡した日に梨央が二人で会っていたこと、別の殺人事件の参考人として事情聴取を受けていたことなどが報じられた。ネット動画でも脳の病気の薬を開発していると配信されたことで、梨央はSNSで叩かれ、自宅や会社にマスコミが押し寄せる…

真田ホールディングスの説明責任を問うニュースを見る後藤。『真田ウェルネス』の株価は急暴落していた。

ネットの動画や後追い記事の削除を要請しているが、正直追いつかない状況だと加瀬。梨央にホテルに避難するよう提案するが、逃げ隠れしたくないと言う。先ずは社員の不安を取り除き、投資家や治験に協力してくれた病院に説明に行きたいから、対策委員会を立ち上げて欲しいと…「加瀬さん、今日、母がどこにいるか知ってる?」昨日から電話が繋がらないと言う。「社にいるんじゃないですか?秘書室に問い合わせますか?」「ううん、また後で架けてみる。」…梓はどうして電話に出ないのだろうか?


優がバイトする店で夕食をとる大輝。梨央は大丈夫かと聞くと「大丈夫そうな顔して頑張ってるよ。」と答え、大輝に頼みがあると言う。

マンション前のマスコミをやり過ごした梨央だったが、中で待ち伏せていた記者に捕まってしまう。優から頼まれてオムライスを届けに来ていた大輝が、記者を追い払い…「来てくれて助かった、ありがとう。」と梨央。そして「バチが当たったんかな。嘘もついたし、いっぱい隠し事もしてきたで。」「梨央はずーっと真面目に一生懸命生きてきたやろ。俺はそういう梨央が好きやよ。」言ってしまった!という顔の大輝を、ポカンと見つめる梨央。「はよ食べろ、冷めるぞ。」「いただきます。」笑ってオムライスを食べ始める。大輝の母の話になり、盛り上がる二人…「いいお母さん。私はようわからん、お母さんのこと。」18歳まで離れて暮らしていたこともあるが、未だにわからないと言う。「自分がお母さんのことどう思っているのか、私はどう思われてるんか…」

梨央の家を出た大輝は、藤井に電話をする。留守電に「聞きたいことがあるから連絡をくれ」と伝言を残す。

同じ夜、加瀬を呼び出した梓は、話しておきたいことがあると言う。


翌朝、久しぶりに出社した後藤。体調はどうかと尋ねる梨央に「ご心配をおかけしました。責任は取ります。」と頭を下げる。専務室は姿を消した時のままだった…


ようやく梓から電話が入る…「梨央、あなたに約束して欲しいことが二つあるの…」一つ目は後藤のことだと。「彼とは上手くやりなさいよ。あの人はあなたにとってもウェルネスにとっても必要な人材よ。いずれ必ずあなたを助けてくれる。梨央と後藤さん、二人で真田グループを支えて欲しいの。それからもう一つ、薬は絶対に諦めないこと。大丈夫、梨央ならきっと出来る。」急にどうしたのかと尋ねる梨央に「私、やっぱりお母さんには向いてないみたいね。ごめんね。」そう言って電話を切る梓…


散らかった専務室で、梓からもらったオープン記念のペンが入った箱を開ける後藤。『後藤さん いつも頼りにしてます。感謝をこめて。2007年3月 真田梓』とメッセージが添えられている。どうやら一度も使っていなかったようだ。携帯が鳴り、電話に出る後藤…


梓が社長を務める『真田ホールディングス』の前で張り込む桑田に、政信、加瀬、後藤の栞死亡時のアリバイの裏が取れたから、梓を引っ張って来いと山尾から連絡が入る。


社長室に戻った梨央のところへ、後藤が慌てた様子で入って来てテレビをつける。梓の緊急会見の生中継が始まるところだった!

世間を騒がせたことを謝罪し「真田ウェルネスの報道の内容につきまして、私の方からご説明させて頂きます。」そして、寄付金詐欺についてはほぼ事実だと認め、関係者に深くお詫びすると深々と頭を下げる。その様子を加瀬が見守っていた。「責任は全て私にあります。これから警察に行き、包み隠さずお話するつもりです。」

「何で…?」涙を浮かべる後藤。そして会見の場に駆け付けた政信は「母さん、何やってんだよ…」と呟く。

社員に対しての謝罪に続き、今回の件に梨央が関わっていたという報道は誤りだと言う。「娘には何も知らせていませんでした。今後、家族への取材などはどうかお控え下さい。」

涙を溜めて梓の言葉を聞く梨央と政信…。

「そしてもう一つ。娘に対して殺人事件に絡めた誹謗中傷を行うことも、今後一切やめて頂きますようにお願い申し上げます。」頭を下げる。「娘も真田家の人間も誓って殺人には関わっておりません。…以上です。ありがとうございました。」

深々と頭を下げた後、カメラの向こうにいる政信に気がつき、見つめ合う二人。大丈夫だというように目で語った梓は会見の場を後にする。

会社を出たところで、付き添う加瀬に「ここでいいわ。ありがとう。」自分も行くと言う加瀬に「一人で大丈夫よ。政信と梨央のこと宜しくお願いします。」

警察署へ向かう為、車に乗り込む梓。毅然とした態度や歩く姿がとても美しく、そして悲しかった。


「何で梓さんが!」全て自分がやったことだから警察へ行くと言う後藤を、追いかける梨央。「待って下さい。落ち着いて話をしましょう。」「あなたは黙って見ていられるんですか?お母さんを犠牲にして平気なんですか?」「母に言われたんです。後藤さんと私で真田グループを支えて欲しいって。だから守っていきませんか?母が命懸けで守ろうとしてきたものを一緒に。」だが後藤の心には響かない…「私のせいだ、私があんなことをしたから!」

階段の踊り場で、止めようとする梨央を振りほどき、バランスを崩し転げ落ちる後藤。頭を打ち、血が流れ出す…。それでも立ち上がり歩き出すが、結局意識を失い、倒れてしまう。

救急車で運ばれる後藤。加瀬に電話で伝える梨央のところへ、梓の件で署まで同行して欲しいと警察がやって来る。「待って、そっちへ向かう。」という加瀬に、一人で大丈夫だと答え、パトカーに乗り込む梨央…これが1話の冒頭シーンだったのか!


捜査本部では山尾が、出頭して来る梓に昭と栞の事件についても聴き、必ず共犯者を炙り出すと息巻いていた。


そして…ようやく藤井と会った大輝は「真田梓が出頭するそうや。彼女に会っとったやろ。」藤井の目を見据える。それには答えず、少し迷った挙句、口を開く藤井。「俺も先輩に聞きたいことあったんです。15年前、あの台風の夜…本当は事件の現場におりましたよね?」

険しい顔で藤井を見る大輝…え!?大輝があの場所に?


◆残る疑問◆

①最終的に康介を殺害したのは誰?

②達雄の共犯者は大輝?

③達雄が亡くなった後、藤井が梨央の家を訪ねたのは何故?

④昭を殺害したのは誰?

⑤公園で昭と会った後、梨央がタクシーの中で泣いていたのは何故?

⑥昭に渡した5百万は何の口封じ?ホテルに残された昭の持ち物の中に『犯人?』と書かれたメモがあったが、誰のことを指しているのか?

⑦梓は寄付金詐欺のことを知らなかったのか?

⑧栞の死の真相は?

⑨プロデューサーからのヒントということで、優が子どもの頃に首からぶら下げていた物が鍵とあったが、メモ帳と携帯だった。メモ帳に何が書かれているのか?

⑩藤井と梓の関係は?


まさか大輝があの夜寮にいたとは思わなかった。もしそれが事実なら、大輝の今までの行動に疑問が残る点も多々あるし…。辻褄は合うのだろうか?

殺人事件に真田家の人間は誓って関わっていないと言った梓。あそこまで言い切るからには、昭と康介の死に関係していないように思う…

加瀬がペンを持っていたことでホッとしたが、加瀬を庇って梓が彼の鞄にペンを忍ばせたということはないだろうか?

今回、梓の会社や子ども達に対する愛情の深さを感じた。そして、後藤の梓に対する想いも。後藤の『最愛』は会社ではなく、梓だったと思う。

1話の冒頭シーン、梨央の手に血が付いていたことで事件性を疑い、梨央の『最愛』の優に何かあったのかと不安だったが、その点についてはホッとした。それと同時に後藤が無事であることを祈る。

梓の『最愛』は子ども達、特に夢を持つ梨央?大輝の『最愛』は梨央、加瀬の『最愛』は家族、その中でも梨央なのか…

いよいよ最終回を迎えるが、伏線はすべて回収されるのだろうか?1時間じゃ足りない気がするが、あの制作コンビの作品だから大丈夫だと信じたい。





2021年12月4日土曜日

「最愛」第8話のあらすじと感想

いよいよ犯人が絞られる!
 


過去の失踪事件が現在の殺人事件へと繋がっていき、かつて両想いだった梨央(吉高由里子)と宮崎大輝(松下洸平)は重要参考人と刑事という立場に…。


『真田ウェルネス』の不正を追っていた橘栞(田中みな実)が、遺体で発見された。梨央が取材を受けた翌朝のことだった。

事件の関係者ということで、突き落とされたのではないかと疑う捜査本部係長の山尾(津田健次郎)。だが鑑識は誰かと争った形跡はないと言う。「何でこんなことに…」何故か泣き出す桑田(佐久間由衣)。


梨央は、警察が話を聞きたいと言ってきていると秘書から連絡を受け、会社へ向かう。渡辺康介(朝井大智)の性的暴行事件の被害者で、唯一彼を告訴した栞。父親の昭(酒向芳)をも非難する彼女に思わず梨央が「あなたなんですか…?あなたがあの人を…」それには答えず「梨央さんの人生もまもなく一変します。汚れた会社が創った薬、薬事審査に通りますかね?」目に涙を溜め、悲しく微笑む。


会社では加瀬(井浦新)が待っていた。相手にしないよう言ったのにと、栞と会ったことを責める。

「取材って何について?」「会社の不正について聞かれる筈だったんだけど…」「その件なら昨日後藤(及川光博)さんに聞いた。」

すると「申し訳ございませんでした!」以前から梨央のスケジュールを後藤に伝え、それを後藤は栞に渡していたと謝罪する秘書。加瀬は、後藤が寄付金を不正に利用している疑いがあり、昨日から連絡がつかないと言う。


梨央は梓(薬師丸ひろ子)に報告に行くが、梓の電話にも後藤は出ない…。彼は入社5年目で真田グループの金庫番をしていたから、会社のお金の流れはわかっていたと言う。

梓が何も知らなかったのか疑問に思う梨央は、以前ゲラに書かれた昭への5百万のことを口にする…梓は後藤がやったことだと言う。それについて謝りに来たと…「会社と私と梨央を守ろうとしてのことだから、誰も責められないでしょ。」

あの記事を書いた記者が今朝亡くなったと言い、二人の間に何かあったのかもしれないと梨央。梓は顔色一つ変えず、本当かどうかわからない内は気にせず堂々としていろ、それが社長の仕事だと言う。


その頃…後藤は証拠になる資料を回収していた。手伝わせて欲しいと言う不動産屋に「私一人でやる。他人を信用した私が間違っていた。」…栞が亡くなったと思われる夜も証拠を回収していただけなのか?


杉並西警察署の生活安全課に配属された大輝に、栞が亡くなったと桑田からメールが入る。捜査一課から転属されたことで、何かあったのだろうと囁く者もいるが、子ども相手に生き生きと仕事をする姿は、どこか楽しそうに見える。


その夜、母親から言付かった濁酒を梨央に届ける大輝。梨央は一緒に飲もうと誘う。昔話で盛り上がる二人。ホント仲がいい。まるで昔に戻ったみたいで微笑ましい。


大輝を送りがてら線路沿いの道を歩く二人…

「この前、これからのこと考えようと言ったやろ…二人で考えんか?これからのこと。」

「私も同じこと思っとった。事件解決して、薬出来たら、その時言おう思っとった。」

「今やないんやな。ええわ、そん時が来るまで待っとこう。」

電車が通ると負けないよう大声で、先のことを考える相手は他にいないと言う大輝。「私もおらん。」と梨央。手を繋ぐ二人。この幸せがいつまでも続くといいのに…


捜査本部では…「事件性ガンガン匂ってきた。橘栞が持ち歩いていたノートパソコンが見つからない。」と山尾。桑田を呼び、栞が梨央に何度か接触していたことを確認すると「真田梨央といえば宮崎だな。本部外れた今が使い時だな。」昭の事件と栞の死は繋がっているから、大輝からネタを引っ張って来いと言う。


後藤の行方がわからず、守衛に鍵を開けてもらい専務室に入る梨央。泥棒が入ったかのように荒らされていることに驚く。書類が散乱し、いくつかの血痕も…おそらく後藤の鼻血の痕だろう。

梓に報告すると警察へは通報しないよう言われる。梓は加瀬と一緒だった。会社が管理している別荘があり、後藤しか使っていないから、そこに居ると思うと…。梨央は慌てると判断を間違うから、しっかり手綱を取れと言う。「不正の実情をご存知であれば、梨央社長へのご説明をお願いします。」加瀬が怒っているのがわかる。不正が事実であれば、言い逃れが出来ない違法行為だと「表に漏れれば、騒ぎは今までの比じゃありません。」「表に漏れる前に内々で済ませましょ。こういう時の為に加瀬くんが居るのよ。」


梨央と加瀬は別荘へと向かう…「やっぱりお母さん、居場所知ってたんだね…」「30年間近く支え支えられての間柄だし。」「加瀬さんと私の倍ね。」「まだ半分かって感じだな。」梓と後藤の絆を思い知る二人。


大輝に会いに行った桑田は、栞の昭殺害時のアリバイの裏が取れたことを報告。防犯カメラから、動物愛護団体へ不法侵入しようとしていたことが判明したのだ。その団体から真田グループと繋がりのある会社に資金が流れているという。梨央から何か聞いていないかと大輝に尋ねる桑田。知らないことは答えられないという大輝に、山尾から大輝を利用しろと言われたと話してしまう。昭と栞の事件の犯人は、梨央の周辺にいる筈だと言っていると…

栞についてはまだ事件だと断定されていないが、パソコンが見つからないことや『真田ウェルネス』の役員と揉めていたという話もあると。事件を解決したいから、力を貸して欲しいと言う。自分たちがもっと頑張っていたら、栞は死ななかったのではないかとずっと考えていたのだ。「俺に出来ることは無いだろ…」と大輝。

だが、やはり気になったのか法医学教室を訪ねる大輝。顔見知りの教授からまだ司法解剖が終わっていないと聞き、驚く。事件性がないから順番待ちをしているというのだ。検視官の所見によると、栞の死亡推定時刻は午後8時から12時。薬毒物の検出は無く、爪の間などから第三者の皮膚片も見つからなかった。遺族の話では大学時代に何度か自殺未遂をしていたと。捜査で事件性が認められなければ、自殺で処理することになると言う。

大輝の反応を見て、取材対象を追い続けていたからといって、突然自殺する筈がないとは言えないと…「わからないもんだよ、人の内面は。いくら刑事でも簡単に読み切れるもんでもないよ。」

そして、所轄に異動して山尾から離れられたのは良かったと言う。「あの地位に就くまで何人の部下が使い捨てられたか知ってるか?彼には気を付けた方がいいよ。」…山尾にそんな顔があったとは!


別荘では後藤が証拠となる書類を燃やしたり、ノートパソコンを壊したりしていた。到着した梨央たちを見て逃げる後藤を加瀬が追いかける。梓が話を聞きたいと言っていると叫んでも、足を止めない。坂の上に逃げた後藤は『誰の指示か?』と言う加瀬の言葉にようやく足を止める。

「本当に一人でやったことですか?」「誰の指示でもない、私一人でやった。」着服はしていないし、会社の為にやったと言う。不正を行うつもりで始めたことではなく、落札した競売の土地を手に入れる際に手違いで融資が間に合わず、5億という現金が必要になり、プールしていた寄付金を借用したと。返せば済むと思ったと言う。

「済むと思っているのですか?」「君も私の立場になればやった筈だ。会社の不利益は回避した筈だ。あの場所は私のすべてだ。他には何もないんだ。何もないんだよ…」

戻って梓と話をして欲しいと加瀬。「会わす顔がないでしょ。警察にも追われている。」「大丈夫です、警察には通報していません。一緒に帰りましょう。」悲し気に首を振り、走り出す後藤。後藤のこんな顔、初めて見た…


絨毯の下に隠されていた大量の札束を見つけた梨央。残っていた書類で加瀬と不正金の流れについて調べ始める…

「後藤さん、一人でやったって言ったの?」梓に連絡する加瀬。「関係書類、そこに全て揃ってる?」「一部は専務が処分してました。引き続き専務を探しますか?」こちらで探すから、東京へ戻れと言う。…やはり梓は気づいていたと思う。もしかしたら梓の真意を汲み取って、後藤がやったのかもしれない。

「後藤さん一人の責任じゃ済まないよね…」と梨央。加瀬は梓はそれで済ますつもりだと言う。真田の老人ホームの入居者から寄付金を募っている以上、見過ごしていた会社の問題だから公式に謝罪する必要があるのではないかと梨央。それに対し、新薬の申請まであと一歩で、承認までまだ暫くかかるという加瀬に「隠蔽するの?」と眉をひそめる。「そうは言ってない。現実的に話そうと言ってる。」謝罪をするにしても、不正の全容を把握しないといけないし、この規模だと精査にもかなり時間がかかると言う。

「もう疲れた…」梨央の目から涙が零れる。「やるべきことをやるんだろ?」「何でいつも私の味方してくれるの?私のことどう思っているの?」「どういう意味?」「嫌になんない?」「ならない。何度も言うけど、家族だと思ってる。幼い頃に家族を失った辛さはわかるから、自分が代わりになろうと思った。」そして、今までよく頑張った、必ず報われる日がくると言う。

新薬が承認され、多くの人の人生がいい方へ変わる。今まで治せなかった病気の治療にも適用されるかもしれないと…「世界がいい方へ変わっていくのが見たい。そう思って同じ舟に乗った。自分がどれだけ凄いこと成し遂げようとしているか、わかってる?本当に凄いことなんだよ。」


捜査本部では…栞の取材対象が昭の事件の関係者と丸被りだと山尾。「渡辺昭に死んで欲しかった人間、橘栞が邪魔だった人間…」…そう考えると二人に共通するターゲットは梨央だ。梨央と会社を守りたかった人の犯行?だとすると梓か加瀬?


梓と加瀬が一緒のところへ政信(奥野瑛太)が入って来て、父親(光石研)の死体遺棄にかなり傷ついたと言う。「世間から見たら悪いことでしょうけど、達雄さんの気持ちはわかる。私も同じことしてたと思う。地位も立場も忘れてね。」…梓の言葉に冷やかな目を向ける加瀬。


優(高橋文哉)がバイトをしているレストランで食事をする大輝。優は、梨央が大輝の母親に濁酒のお礼を送りたいと言っているから、住所を書いて欲しいと紙とペンを渡す。そのペンを見た大輝は…「これ、優のか?」「姉ちゃんのや。」

ペンにローマ字で『ウェルネスホーム』と彫られていた。優からペンを借り、署に戻った大輝は昭の事件の遺留品リストを確認。その中に全く同じペンがあった!

ペンの写真を桑田に送ると、かなり似ているが、彫られているマークが『真田ウェルネス』の物とは違うと言う。


ようやく優の治験が始まる…「優が弟でおってくれたで、ここまで来れたんや。」と梨央。自分だけ覚えていないことがあるのが恐かったと優。「でもな、今は前ほど怖いと思わんくなったわ。それは姉ちゃんのおかげやな。」


病院のロビーで梓が待っていた。治験の終了は12週間後、データ解析を済ませて来年申請予定だと話す梨央。そして声をひそめ「どうするの?不正のこと。」「ウチの方で処理しておく。騒ぎ立てたら後藤さんが一人悪者になって、可哀そうでしょ。」後藤が別荘の倉庫に隠れているのを見つけ、今は過労で療養していると言う。

「お母さんいつから不正のこと知ってたの?…知ってたんでしょ?」「梨央に話したところでどうにもならないわよね…」

そこへ大輝から電話が入る。『ウェルネスホーム』について聞かれ、10年前に売却したが、社名が入ったペンはオープン記念の物で、梓が周りの人に配り、自分も持っていると答える。事件と関係していると聞き、自分の会社の記念品がどう関わっているのか教えて欲しいと梨央。だが、藤井(岡山天音)が訪ねて来たことで「架け直す」と電話を切る大輝。

「何でおるんや、お前。」「先輩、誰と電話しとったんですか?」…大輝を見つめる藤井の顔がどこか怪しい。

ペンのことを梓に尋ねると、赤いペンは特注品でこの世に5本しかないと言う。持っているのは梓、梨央、政信、後藤、そして加瀬…。


◆疑問点◆

①康介を最初に刺したのは優だが、真犯人は別にいる?

②遺体遺棄は達雄一人でやったことなのか?協力者がいたのか?康介の事件には寮生が絡んでいるように思えてならない。

③達雄が亡くなった後、梨央の家を藤井が訪ねて来たのは何故?

④昭を殺害したのは、ペンを持っている4人の中にいる?

⑤公園で昭と会った後、梨央がタクシーの中で泣いていたのは何故?

⑥昭に渡した5百万は何の口封じ?ホテルに残された昭の持ち物の中に『犯人?』と書かれたメモがあったが、誰のことを指しているのか?梨央?

⑦寄付金詐欺のことは梓も知っていたのか?

⑧後藤は資料を回収していただけで、栞の死には関係ない?

⑨プロデューサーからのヒントということで、優が子どもの頃に首からぶら下げていた物が鍵とあったが、メモ帳と携帯だった。あのメモ帳はその後どうなったのか?


康介の事件は藤井が怪しく、昭の事件は梓が怪しいと思わせて、まさかの加瀬?8話を見るとどうしても梓か加瀬に絞られてくる。ペンを使用しているシーンがあるかどうか、録画を確認したくなった。

更に8話では梓、後藤、山尾の新しい顔が見え、3人の印象が少し変わってきた。唯一、良く変わったのが後藤。梓と山尾はしたたかで信用できない感じ。そしてやっとお互いの気持ちを確認し合うことが出来た梨央と大輝。今度こそ幸せになって欲しいけど、1話の冒頭シーンを思い出すと難しいのかなと思う。優に何もないことを祈るばかりだ。




2021年12月1日水曜日

「最愛」第7話のあらすじと感想

 栞の人生って…(T_T)


過去の失踪事件が現在の殺人事件へと繋がっていき、かつて両想いだった梨央(吉高由里子)と大輝(松下洸平)は重要参考人と刑事という立場に…。

加瀬(井浦新)の尽力により、渡辺昭(酒向芳)の死に関与していないことが証明された優(高橋文哉)は、姉・梨央と再び暮らし始めるが…『真田ウェルネス』の不正を追うフリーライターの橘しおり(田中みな実)が突然梨央の前に現れる。


7話はしおりのナレーションで始まる…

"気がつくと考えている。もしあの時違う道を選んでいたとしたら、もしもあの人に会っていなければ。もしもあの時あの場所に行っていなければ。もしも明日この世が終わるとしたら、その瞬間にも私は『もしも』を考え続けているのだろうか…"


「やっと会えましたね、この日を待っていました。大きくなりましたね、弟さん。」真田グループの不正について話を聞かせて欲しいと言う。何を言っているのかわからないと立ち去る梨央に「私のこと、覚えてませんか?」見つめ合う二人…。しおりの顔に見覚えがない梨央は「失礼します。」と頭を下げ、行ってしまう。悲し気な顔で見送るしおり…

優は、後藤(及川光博)から橘しおりについて調べるよう依頼された時に、彼女を『害虫』と言っていたことを思い出し、心配する。


捜査本部では、優の不起訴処分に不満を抱いていた。優と梨央が昭の息子・康介(朝井大智)殺害について富山県警で聴取を受けているが、それで終わりだろうと係長の山尾(津田健次郎)は言う。

優と揉み合いになり東側の池に落ちた昭は、自力で這い上がり西の方へ歩いて行ったが、西側の池で遺体で発見されるまでに何があったのかは未だわからない。

大輝は気になる人物がいると『松村栞(=橘しおり)』の名を挙げる。康介の性的暴行事件の被害者の中で唯一康介を告訴した女性で、昭が東京にいる康介の関係者全てに会おうとしていたことを考えると、栞と接触していた可能性があると言う。

大輝と桑田仁美(佐久間由衣)は彼女に接触。事件当日は一人でBARで飲んでいたというアリバイの裏を取る為、店へ向かう。店員も彼女が一人で飲んでいたと証言するが、店に貼られていたスナップ写真から、その日は貸し切りだったことに気づく大輝。


一方、優と楽しく暮らす梨央は"自分には資格がない"と治験を受けようとしないことに心を痛めていた。

優の希望で休日に加瀬と三人で買い物に出かける。優の加瀬に対する信頼は大きく、自分でお金を稼ぐ為にアルバイトをしたいと相談。どうせならやりたいことをやった方がいいし、新しいことにチャレンジしてみるのもいいと加瀬。病気のことがあるからと言う優に、治験を勧める。

「僕なんかに受ける資格あるんかなって…」「資格は誰にだってある。」「でも、僕がしたことは消えないし…」「大事なのはそういう経験を経た君が、これから先どう生きていくかじゃないかな。」


山尾に店員が口裏を合わせていたことを報告する大輝たち。明日もう一度、栞に接触することになったところへ管理官が大輝を呼びに来る…桑田が岐阜でのことを報告したことで、生活安全課へ異動になってしまう。


康介の事件で優は立件されないことが決まり、父・達雄(光石研)は死体遺棄で書類送検となった。加瀬から報告を受けた優は「自分のしたことを忘れずに生きていく」と…。そして治験を受け、弁護士を目指すことを梨央に伝える。


後藤が情報屋に依頼し、昭に5百万渡したことを掴んだ加瀬は、彼を訪ねる。惚ける後藤に、情報屋は梨央の弟で、後藤に近づいたのは姉の為だったと話す。そして警察で追及されても後藤のことは話さなかったことも。自分もそれについて問うつもりはないので、今後も梨央のバックアップを宜しくと頭を下げる。


大輝を呼び出した桑田は、自分のせいだと頭を下げる。これ以上梨央と近づき過ぎるのは危険だと思い、大輝の規則違反を上に報告したと…。気にするなと大輝。

そして栞の証言が、事件当日は取材対象を張り込んでいたと話が変わったことを報告する桑田。何か隠している気がするので信用できないと言う。今後の捜査次第で監視対象になるかもしれないことや、最近は真田グループを取材していることなどを話す。


栞は真田グループの老人ホームや不動産屋を訪ね、取材を続けていた…。

ホームの職員から連絡を受け、栞に会いに行く後藤。取材をやめさせようとするが…身寄りのない富裕層の高齢者が、遺産を慈善団体へ寄付するケースが増えていて、その団体の一つが真田のペーパーカンパニーに不正流用していると、彼女はそこまで掴んでいた。


お礼が言いたかったと大輝に会いに行く優。「これからは自分のしたことと、ちゃんと向き合っていこうと思っとる。」と話す。忙しくしていると思っていた大輝が、異動になったと聞き驚く。「姉ちゃんはそれ知っとるの?」「知らん。もう会うこともないやろし。」

梨央に大輝と会ったことを話し、家に呼んでもいいかと尋ねるが「うちらはもう関わったらいかんの。」と断られてしまう。大輝が異動になったことを伝え「本当にもう会わんつもりなの?」「もう決めたことやからな。」…そうは言ったものの、大輝に連絡しようか迷う梨央。


陸上部マネージャーだった青木菜奈(水崎綾女)を訪ねる大輝。「昔のことを思い出したくないこともわかる。もう俺に会いたくないと思っていることもわかる。」「だったら何で来たんよ。」「どうしても解決しんといかんことがある。頼む。」と頭を下げる。


『真田ウェルネス』がホーム入居者相手に寄付金詐欺をしていたと編集長に報告する栞。後藤にも不動産屋から、自分の妻が記者に余計なことを話したと相談の電話が入る。専務室で一人暴れる後藤…前を通りかかった加瀬は物音に気づくが、中に入ることもなく通り過ぎる。

喫茶店で編集長と会う後藤…記事を買わせて欲しいとお金を差し出す。「厚みが足りないんじゃないですか?」「ご希望をお聞かせ下さい。」「じゃあ二倍で。」「承知しました。」ボイスレコーダーを見せ、冗談だと笑い、店を出て行く編集長。証拠を掴まれ、また鼻血を流す後藤…なぜ鼻血?


大輝を呼び出した優は、梨央の家の近くで一人暮らしをしていると嘘をつき、夕飯に誘う。検査の結果次第だが、治験を受けられそうだと嬉しそうに話す。

丁度車で帰宅した梨央は、二人が家に向かって歩く姿に気づき…。今度は大輝が通りの向こうに立っている梨央に気づく。見つめ合う二人…

「ごめん、本当は姉ちゃんと一緒に住んどる。姉ちゃんと一緒に飯、食わん?」「帰るわ。」背中を向け歩き出す大輝。今度は梨央に向かって「姉ちゃん!ホントにこのままでええんか?」黙っている梨央。もう一度大輝の背中に叫ぶ優。「大ちゃん!逃げたってなんも変んないぞ!そう言ってくれたのは大ちゃんやろ!」足を止め、振り向く大輝…

宇多田ヒカルの『君に夢中』が、とても切ないシーンだった。

優の手料理を三人で食べることになり、部屋へ上がる大輝。梨央が異動になったのは自分たちのせいだと謝ると「梨央が謝ることやないわ。俺がしたくてしたことや。」あの時、大麻に手を出した仲間や陸上部、梨央や優が苦しんでいることに気づけなかったから、今度こそ何が何でも守りたかった。今こうして二人が仲良く暮らしているのを見て、やっぱり間違ってなかったと思うと言う。

大輝と梨央を二人きりにしようと、ビールを買いに出て行く優…

達雄の料理の話で盛り上がる二人。「もしお父さんが生きとったら、どうなっとったんやろ…」「もしもの話はええ。先を見た方がいいさ。優も一歩踏み出そうとしとるんやし、俺たちもこれからのこと考えよう。」思わず大輝を見つめる梨央に気づき「あ、いや、そういう意味やないけど…」動揺した大輝はグラスを倒してしまう。

慌てて床を拭く二人の手が重なり、見つめ合う二人…同時に笑い出し、昔に返ったようにふざけ合う…キスするのかと思ったのに残念!

大輝を外まで送りに出ると、馴染みの店の前で栞が店主に梨央のことを聞いていた。二人に気づいた栞は「あれ?お二人ってそういう関係なんです?…弟さんが不起訴になったのって、もしかして…」そんなことあるわけないと遮る大輝。「まあ、いいです。その辺はこっちで調べるんで。」と立ち去る栞。

優や自分のことを知っているみたいだと言う梨央に、菜奈から聞いたことを話す大輝。栞は合同合宿に来た時に康介の被害に遭ったと…。当時の写真を見せてもらい、思い出した梨央は栞に会いに行く…


「思い出しました、あなたのこと。合宿の時お会いしてましたね。」

合宿最後の日、打ち上げの準備に追われていた梨央は、康介に支えられ合宿所に戻って来た栞に気づき、声を掛ける。貧血を起こしたみたいだから、奥の部屋で休ませると康介。水を持って行こうかと言った時に梨央を呼ぶ声が…手が足りなさそうだからそっちに行ってあげてと言われ、準備に戻ろうとする。薬のせいで口もきけない栞は、梨央に知らせようと手を伸ばすが届かない。目で訴えるが気づいてもらえない…

「あの日から人生が一変しました。なのにあなたは『世界を変える30代』…こっちは息をするのもやっとの思いで生きて来たのに…こんな不平等なことってあります?あの男が15年前にこの世から消えててくれたことが、せめてもの救いです。でも、あの父親は最後まで謝ろうとしなかった。親も息子も殺されたって仕方ない。罪を犯した人間は、報いを受けるべきなんです。」

「あなたなんですか…?あなたがあの人を…」

目に涙を浮かべ悲しく微笑む栞…


一方「こんなことして、どうするつもりですか?」後藤に電話をする加瀬。寄付金詐欺のことを言っているのだろうか?それに答えず電話を切る後藤。大きなスーツケースを引いて、ペーパーカンパニーの一つがあるマンションの通路を歩いていた…


翌朝、池尻にあるマンションの駐車場で血を流し倒れている女性(栞だった!)が発見されたというニュースが流れる。直ぐに搬送されたが、まもなく病院で死亡を確認。全身を強く打っていることから、隣のビルから転落したとみられ、警察は事件と事故の両面で捜査を開始し、所持品から身元の特定を急いでいると報じられる…


ラストシーンにビックリ!

告訴したことでかなり辛い目に遭ってきたのだろう。自分と梨央を比べ、悲観するのは仕方ないかもしれないが、逆恨みはやめてと思った。余計惨めな気持ちになるだけだし、栞は知らないのだろうけど、梨央も梨央の家族も康介の被害者で、すごく苦しんできたのだから。それにしても栞の人生があまりにも悲し過ぎる…


◆疑問点◆

①康介を最初に刺したのは優だが、それで絶命したとは思えない。真犯人は別にいる?

②遺体遺棄は達雄一人でやったことなのか?協力者がいたのか?康介の事件には寮生が絡んでいるように思えてならない。

③達雄が亡くなった後、梨央の家を藤井が訪ねて来たのは何故?

④昭を殺害したのは誰?康介の事件の関係者?それとも梨央を守りたい人の犯行?

⑤寄付金詐欺は後藤一人でやったことなのか?予告で姿を消したとあったが、栞の死にも関係しているのか?スーツケースの中は栞だったとか?

⑥昭に5百万渡したのは後藤だったが、何の為に?


最終回が近づくにつれ、1話の大輝のナレーションのシーンが気になってきた。

「彼女の名前は真田梨央。その名が世間を騒がせる前の彼女の話をしようと思う…」

梨央の手に付いていた血は誰のものなのか?梨央が一番守りたい優に何かあったのではないかと不安…。