2021年12月24日金曜日

「最愛」最終回 受け入れがたい悲しい真実…

まさかあの人が犯人とは!


過去の失踪事件が現在の殺人事件へと繋がっていき、かつて両想いだった梨央(吉高由里子)と宮崎大輝(松下洸平)は重要参考人と刑事という立場に…。


『真田ウェルネス』の寄付金詐欺について、梓(薬師丸ひろ子)が一人でやったことだと会見を開き、その足で警察に出頭した。

テレビでその様子を見ていた後藤(及川光博)は、自分がやったことだからと梨央が止めるのも聞かず、出頭しようとして揉み合いになり、階段から転落してしまう。


最終回は梨央が『真田ウェルネス』従業員に宛てたお詫び文書のナレーションで始まる…

"従業員の皆さま、この度のことで皆さんを不安にさせてしまって申し訳ありません。私の母、真田梓は詐欺容疑で逮捕されました。

後藤専務は命に別状なく、病院で治療を受けています。警察に事情をお話ししたところ、転落事故として処理されることになりました。

会社の信用を一日でも早く取り戻すこと、それが今皆さんにできる私の償いです"


梓と会っていたことを確かめる為、藤井(岡山天音)を呼び出した大輝は逆に「15年前、あの台風の夜、本当は事件現場におりましたよね?」と質問を受ける。鋭い目で藤井を見つめ返し「そっちの事件はもう終結しとるやろ。」とひと言。

殺人は優(高橋文哉)が嫌疑不十分で立件されず、死体遺棄は達雄(光石研)死亡の為、不起訴で終わったが、調書を読んでどうしても引っ掛かることがあると言う。

康介(朝井大智)は犯行時自分で調合した違法な睡眠薬を使っていて、被害者は個人差はあれど5~6時間は昏睡状態に陥っている。梨央も目を覚ました時は家で寝ていたと言っているが、昏睡した梨央を運んで、遺体を山の中へ遺棄、現場の証拠を消す…一人では無理だと思わないかと言う。「達雄さん一人に罪を被せて、自分は罪を逃れたままおったんなら、許せんことです。」それで今も調べ続け、梓に会ったのもその為で、関係者に話を聞いて回っていると…「そしたらまだ隠し事しとる奴がおったんですわ。」

その時、元マネージャーの青木(水崎綾女)が店に入って来る…。あの夜、水を飲みに1階へ降りた時、誰かが外に逃げて、達雄と話していたと話す。

「誰かおったんですよ、もう一人。あの晩、寮で達雄さんに手を貸した誰かが。」大麻をやっていた連中は酔い潰れててシロ。飲み会に出かけていた自分達もシロ。寮に出入りが出来てアリバイの無いのは大輝一人だと藤井。大輝は姉の結婚式で大阪にいたというが、親族の証言は効力が薄いと相手にしない。

「俺やないって。」「じゃあ、誰なんですか?梨央ちゃんと優の為なら達雄さんに手を貸すもん、犯罪も躊躇わんもん。」丁度、テレビでは梓の会見の様子が報じられていた…「もう一人おりましたが、犯罪も躊躇わんもんが。」

すると青木が、あの夜厨房にあった瓶を持って帰ったと言い出す。それは今も実家にあると…。思わず顔を見合わす藤井と大輝。「指紋、取れんやろか…」


一方『真田ウェルネス』では、加瀬(井浦新)が今回の件への対策について梨央に報告していた。グループ全体の企業価値をこれ以上下げない為に出来ることは二つ。一つは梓の社長辞任。もう一つは不正の温床になった『真田ウェルネス』の事業体制の見直し。体制が変わったことを利害関係者にアピールする為に、創薬事業を他社に売却することも選択肢の一つだが、そうすると新薬の開発を譲り渡すことになる。厚労省から業務改善命令が出る前に改善案を明確にしようと提案する。


青木から薬の瓶を受け取る大輝。それを証拠に康介を訴えようか迷って、ずっと持っていたと言う。「でも結局出来んかった。バカなことして自分誤魔化して、忘れることで精一杯だったわ。」「辛いこと思い出させてまって、ホントにごめんな。」頭を下げる大輝。「そういう仕事やろ。事件、解決せんとね。」「解決して、巻き込まれてまった人たちに、安心してもらいたいと思っとる。辛い目におうた分、人の何倍も幸せになって欲しいと願っとるよ。」白川郷で確保される時の優と梨央の泣き顔を思い出す大輝。栞(田中みな実)にしても青木にしても、康介の罪は大きい…


捜査本部では係長の山尾(津田健次郎)が、梓が殺人事件について黙秘を続けていると報告。昭(酒向芳)の事件=芝池は、息子康介の死体遺棄事件=富山に家族の関与が疑われることの口封じ、橘栞=池尻については会社の不正に対する口封じと殺害の動機は十分にあると言う。

大輝は桑田(佐久間由衣)に、富山の事件に共犯がいるかもしれないという証言があったことを伝え、青木から預かった薬の瓶を渡し、鑑定を依頼する。桑田も捜査本部が共犯の線で追っていることを報告。遺留品のペンを持っていなく、芝池と池尻の両方にアリバイが無いのは梓だと。会見を見てどう思ったかと尋ねる大輝に「わからなくなりました。一見本当に潔白そうに見えたんで。共犯を疑うにしても…」「池尻には全員アリバイがある。」…私も会見であそこまで言い切るなら、真田家の人間は関与していないと思った。


栞の葬儀でお焼香をあげる梨央。大輝も参列していた。その帰り道、お互いに近況報告を交わす…大輝は生活安全課に異動し初心に帰った気分だと言い「困っている人を助けたい、だから刑事になったんや。」「私も最初は優を何とかしたくて就いた仕事だった。社長になるなんて考えもせんかったわ。ただ薬を創りたかった…」俯く梨央を元気づけようと「ボケっとしとらんで仕事戻れ。」「戻るさいわ、言われんでも。」梨央に笑顔が戻る。落ち着いたら二人でこれからのことを考えようと約束する。


入院中の後藤に会いに行く梨央。彼は自分の罪を梓一人が被っていることに心を痛めていた。「母は不正を黙認していたんですよね?経営者として潔白じゃないと、母自身もわかっていると思います。」「私も会社に戻るつもりはありません。居場所はもう無いんだ。」…「聞いてもいいですか?橘さんのことです。」「殺していません。私は不正を隠し通せても、殺人を隠し通すことは出来ない。」…「後藤さんの力が必要です。大事なご相談があります。」

そして社に戻って加瀬にも相談したいことがあると言う。


数日後…梨央は馴染みのもんじゃ屋に兄・政信(奥野瑛太)を呼び出す。梓の代わりに自分が逮捕されても良かったのだと言う政信に「グループのトップが責任を取ることに意味があるの。」と梨央。「母さんの後任、どうするの?梨央がやるの?」「外部の人に任せることにした。」驚く政信に、大事なのは会社の価値をこれ以上落とさないこと、信用を取り戻すことだと話す。一番いい方法は創業家全員が経営を離れることで、自分も政信も社長を辞任して経営権を放棄すれば、真田グループの不信感を払拭できると言う。

そこへ外出許可をもらった後藤が入って来て、後任候補や政信が辞任した場合としなかった場合の企業価値評価のデータを見せる。…梨央の提案を受け入れる政信。


梨央から社長を辞任すると聞き、驚く優にそれが最善策だと説明する加瀬。薬のことを心配する優に、梨央は誰にも何処にも渡さないと答える。そして梓に面会に行き、ちゃんと話をして来ると。「親子として話してみて。部下には出来ないことだから。」と加瀬。「前からそうしてたら、今みたいなことにはなってなかったかもしれないね。」


ここから暫く大輝のナレーションで話は展開していく…

"梨央は社長を退くことで会社を守った。経営から身を引き、一人の社員としてやるべきことを続けた。真田梓は詐欺罪で起訴された。殺人容疑については黙秘を続け、芝池公園殺人事件の捜査は手づまりに陥った。共犯の疑いがある者(後藤、加瀬)への捜査は続いたが、彼らの行動に不審な点は認められず、死体遺棄事件の共犯者を辿る糸も切れた"

薬の瓶からは不鮮明な指紋しか見つからず、DNAも出なかったことを藤井に報告する大輝。

"橘栞の転落死も事件性は無しと判断され、捜査は打ち切られた"

山尾が本部を出て昇進したことを大輝に訴える桑田。散々人を利用して事件は未解決なのに、警察の人事はどうなっているんだと怒る。「桑子も上行きたかったら見習えよ。」「嫌です。最後の一人になっても解決諦めません。」

"事件に留まる者と離れる者がいた"

桑田は刑事部長に昇進した山尾に、彼の弱みをネタに、大輝を捜査一課に戻すよう働きかける。

"未解決の事件は、いつまでも心に引っ掛かる。未来を絶たれた人たちの顔が忘れられなかった"

2022年冬、大輝の捜査一課への復帰が決まる。


栞の転落現場を訪れた大輝は、花を供え手を合わせる栞の母(浅田美代子)と出会い、声を掛ける。

母は、大学時代に栞が自殺未遂をしたと警察に話したことを後悔していた。事故扱いになったと聞き、もっと調べて欲しいとお願いしたが、受け入れてもらえなかったのだ。力になれず申し訳ないと頭を下げる大輝に「私がもっと娘の支えになってあげれれば良かった。何て言うか、あの子いっつもつまらなそうな顔をしていました。」仕事に没頭していたのは、栞なりの『逃げ』だったと思うと言う。何かに打ち込んでいれば、嫌なことは忘れられるからと。栞がメンタルクリニックに通っていて、病院をどんどん変えて、薬も変えたと聞いて心配していたと聞き、再び法医学教室を訪ね、事故の直前に新しく処方された薬のスクリーニング検査を依頼する。

薬の種類を聞いた教授は、薬を変えたことで発熱などの副作用が出ることを指摘。もし発熱していたら、死亡推定時刻が変わってくると言う。


桑田と検証する大輝。栞の尿から検出された成分も、発熱していた可能性があることを示していた。仮に平熱より3度高かったと仮定すると、死亡推定時刻が2~3時間前倒しになる。午後6時~7時にアリバイが無い人物は…辛そうな表情の大輝。桑田は周辺の防犯カメラをあたり、大輝は『真田ウェルネス』へと向かう。その日は新薬の承認結果が出る日だった…。


防犯カメラを確認した桑田は、ある人物を特定し、芝池の現場付近にあった足跡痕の一つと推定身長も一致すると大輝に連絡。「昭さんとも橘さんとも直接の接点は無し。でも、もし富山の事件と関わっているとしたら…」タクシーの中で電話を受ける大輝の表情が何とも言えず、嫌な予感しかしない。

そして誰かに電話を架ける大輝。着信が鳴る中、梨央の名前が刻まれた赤い手帳が映し出され、定員が配送の準備をすると言っていた…


その頃…創薬ラボ所長の海野(峯村リエ)から薬が承認されたと報告を受ける梨央。海野と抱き合い、涙を流す。祝賀パーティの準備には優も来ていた…


固い表情で電話に出る加瀬…「宮崎です。」「ご無沙汰しています。ご用件は?」聞きたいことがあって会社へ向かっていると言う大輝に、ショッピングモールを歩きながら「お電話で良ければ。」と答える加瀬。

「富山の死体遺棄事件のことです。朝宮達雄さんとは、いつからの知り合いですか?」「さあ、いつからか覚えていません。」

加瀬の電話から聞こえるアナウンスで、居場所を特定した大輝は、運転手へ行き先を変更するよう伝える。そして桑田達捜査員も、加瀬のいるショッピングモールへと向かう。

「朝宮さんには何度かお会いしただけですが、あれ程家族を思う人を私は他に知りません。」

ドラマのオープニングとラストに毎回出てくるブラックボックスが開く…ここからの演出が素晴らしく、見ていてゾクゾクする。


あの台風の夜…梨央の大学進学後の東京での生活について、梓の代理で達雄と会う加瀬。そこへ優(柊木陽太)から電話が入る。「お父さん、早く帰って来て!姉ちゃんが全然起きん。男の人が…男の人を刺してまった!」

寮に戻った達雄に抱きつく優。その先には意識を失った梨央の上に覆いかぶさる康介の姿が…思わず叫び出す達雄。達雄に同行して来た加瀬が康介の脈を確認し、電話を架けようととすると…「見んかったことにして下さい。」達雄が止める。「でも、でも、でもお嬢さんが…救急車を呼びます!」「怪我はしとりません。」そしてパニックを起こしている優に「優!お前は何もするな。父さんが何も無かったことにするでな。」「息子さんは刑事未成年、殺人の罪には問われません!」「いかん、いかん、優を人殺しには出来ません!」「少年法がプライバシーを守ってくれます!」「法律の物差しで言わんで下さい!私は、私は家族の話をしとります!子供がやったことだからいうて、世間では言い訳にもならん。通らんのですよ!この子らを晒しものには出来ん。お願いします!お願いします!」

今度は昏睡する梨央に呼びかけ「父さんが助けるでな。」と何度も繰り返す…

達雄の熱意に負けた加瀬は電話をしまい「お嬢さんは私が。朝宮さんは息子さんを…」…手を貸すことを決めた悲しい瞬間。あの状況で警察を呼べる人はいるのだろうかと思うほど、悲惨な現場だった…


二人を家に連れて帰り、梨央を布団に寝かせ「ごめんな、ごめんな。」と頭を撫でる達雄。受験票などを机の上に並べる優。そんな優を抱き締め「お姉さんを守ったんですね。」と背中をさする加瀬。この頃から加瀬は優を守ってくれていたのかと感無量。

そして達雄と共に康介の遺体を山へ埋めに行く…。康介の手から、あの日大輝が梨央に渡したお守りが落ちる…


「2006年9月21日深夜、どこにいましたか?」

加瀬との電話が続く中、大輝も桑田たちもショッピングモールに到着。

「東京にいたと思います。」「岐阜には?」「行っていません。事件が起こった日ですよね?あの日さえ無ければ、家族は幸せだったのに。」


薬の承認を喜び抱き合う優と梨央。「なあ、加瀬さんはおらんの?」優に聞かれ、パーティー会場を見渡した梨央は不安になる…


そして、大輝たちの姿を確認する加瀬…

「2021年8月3日夜、自宅にいらしたんですよね?」「ええ。深夜12時頃帰宅しました。」加瀬の姿を探すが、中々見つけられない大輝…「それを証明できるものはありません。渡辺昭さんに会ったことは?」「事件の前、会社を訪ねて来たとは聞きました。」

再びブラックボックスが開く。


梓の社長室で例のペンを拾った加瀬は、何気なく内ポケットにしまう。きっと後で返そうと思ったのだろう。そこへ梨央が芝池公園の近くで下車したと連絡が入り、公園へ向かう…そして池の側に横たわっている昭を発見する。

どうしたのかと声を掛けると、警察に連れて行ってもらえないかと言う。「息子を殺した男を見つけたで。弟やったんや。年も合うで。寮におった一家が康介を殺して埋めちまった。」泣きながら訴える。「何で康介が殺されにゃいかんのや」「酷いことを、しようとしたからです。」感情を抑え答える加瀬。「たかが、チョッコっと、チョッコと悪戯しただけやないかー。悪いのは誘って来る女の方や。何で康介が責められなあかんのや。」耳を疑うようなこの発言に加瀬は「あなたの息子のせいで!真面目に生きている人たちの人生が狂わされた。不本意な不幸を受け入れるしかなくなった!」昭の襟首を掴み「将来を奪われて、一生の苦しみを背負わされたんです!命を奪われるのと、どう代わりがあるんですか!」加瀬の怒りは当然だ。「康介にも将来があったんや。警察に、警察に知らせんと…」起き上がり、歩き出す昭。加瀬の表情が変わる…

昭の首を掴み、突き飛ばす加瀬。池の中に落ちた昭は、石に後頭部を打ちつける。自分も池に入り、まだ意識のある昭を押さえつける加瀬。昭は加瀬の内ポケットにあるペンを掴む…。昭の言葉は、康介のせいで理不尽に苦しんできた人たちにとって、許せない言葉で、逆上しても仕方ないと思った。


「あの晩、どこにいたんですか?」大輝の問いには答えず「父親は息子を盲目に愛したまま死んでいったそうですね。ある意味、幸せだったんじゃないですか。」と加瀬。そこで加瀬の携帯に別の着信が入る。梨央だった…

「加瀬さん、どこにいるの?ここまで長かったね。みんなの喜んでいる顔、加瀬さんにも見て欲しい。ホントに嬉しいよ。優も待ってる、早く来て。」伝言を吹き込む梨央。

梨央からの『承認されました 早く来て!』というメールを確認し、感無量の加瀬。とても嬉しそうな表情をした後、淋しそうに俯く…

館内の防犯カメラをチェックしていた桑田は、加瀬が3階にいることを確認するが、その後カメラの死角に入ってしまう。報告を受け、3階へ走る大輝。

「2021年10月21日18時から19時の間、どこにいましたか?」「18時?」「誰かと会っていましたよね?」「いいえ。」

3つ目のブラックボックスが開く。


栞に会いに行く加瀬。ビルの踊り場で話をする…

「真田梨央の弟は人殺し、父親は死体遺棄、会社は不正を行っている。真っ黒じゃないですか。」ゲラを見せる栞。「それを出さない代わりにどんな条件でも飲みます。」「だから私、お金なんて要らないんです。」「何をお望みですか?」「私は…必要とされてるって、誰かの役に立ってるって実感が欲しいんです。」「どうか、薬が承認されるまで待って下さい。」「罪を犯した人間は報いを受けるべきなんです!」「その薬で多くの人が救われる、無事に薬が出来るまで、それだけを考えて動いてきたんです!お願いします!」土下座する加瀬。「この記事出して、世の中は不公平じゃない、公平だって、自分にも真田梨央にも教えてやりたい。」栞の手を掴む加瀬。「社長はあなたが考えるほど幸せじゃありません!何も手にしてません!」加瀬の手を振りほどこうとしたことで、ゲラが栞の手を離れ空に舞う…それを掴もうとして足を滑らせ、転落する栞。慌てた加瀬は階下に駆け下り、救急車を呼ぼうと携帯を取り出すが…電話は架けず、散らばったゲラを集める。

(世界がいい方へ変わっていくのが見たくて、梨央の夢にのった加瀬。新薬を世に出す為に、彼もまた心血を注いできたのだ。こう言っては申し訳ないけど、栞個人の梨央に対する偏見で、多くの人が救われる機会を失うのは、どうかと思う。私は栞は自殺なのかなと思っていた。梨央と話して、彼女が失脚することを伝え満足したのか、そんな自分に嫌気がさしたのか、それで編集長にパソコンを渡して自ら命を絶ったのかなと。憎むべきは康介で、梨央と自分を比べても仕方ないのに…)


「聞きたいのは橘栞さんのことですか?」「そうです。」「弊社に悪意を向けていたようですが、事故で亡くなったと聞きました。…用件は以上ですか?」…「何で一線踏み越えた?踏み越えてまったら、戻って来られんやろ!」「戻るつもりはありません。」「あんだけ信頼されとって何で…」「法律では守れないものがあるからです。」

桑田からエスカレーターの近くにいると無線が入る。階下へ降りる加瀬らしい姿を認める大輝。

「私が思うことは一つしかありません。二人には一点の曇りもない人生を送って欲しい。…それだけです。」


お祝いの席で幸せそうに笑う梨央と優…


電話をしながらショッピングモールを出ようとする男性を桑田が確保するが、人違いだった。いつの間にか、加瀬はもうショッピングモールの外にいた。

「どこに逃げようが、逃げ切れんぞ。」「この日が来るのは、あの日からわかってました。」「二人にとって、お前がおらんくなることが、どういうことかわかっとるか!?」「頼みましたよ、宮崎さん。ようやく手に入れた二人の幸せを壊さないでやって下さい。」


加瀬との会話が終わった時、大輝個人の携帯が鳴る。梨央からだった。薬が承認されたことを嬉しそうに報告する。「とうとうか…。長かったな。…おめでとう。」泣きそうになり言葉に詰まる。大輝の複雑な気持ちが伝わってきて胸が痛い。「梨央…幸せか?」「こんな幸せな日はないわ。」その言葉を聞き「そっか。」涙を流し、辛そうに俯く大輝。


加瀬の机の上には退職届が置かれていた。加瀬のナレーションが流れる…    

"一つの目標を達成した今、次の目標に向かいます。人生最良のこの十六年間に感謝します"


梨央の新薬はニュースでも取り上げられ、認知症など回復が困難な疾病の治療薬としても期待されていた。


梓に面会した後藤は、一連の殺人事件の梓への疑いが晴れたようだと伝える。週刊誌が梓の自宅を盗撮した写真が出て来たと…。「アリバイ、証明されちゃった。」「もう黙っていなくともいいんです。失くしたペンは見つかりましたか?」「あれはね、あげたの。だからね、探さないで。そのままにしといて。」「…私は自分の罪を告白しようと思っています。」声を潜め「いいのよ。」と梓。でも、秘密を抱えて生きる人生を受け入れるのは難しいと言う。…梓は加瀬の犯行に気づいていたのだろう。だから黙秘を続けていたのか…


加瀬から送られた手帳を手にする梨央。梨央のナレーションが流れる…

"加瀬さん、今どこにいますか?あれから事件がどうなったのか、あの人に尋ねても捜査情報は話せないと教えてくれません。嘘はつけない人だから、私に隠していることがあるのは確かです"


捜査本部では桑田が、足跡痕と防犯カメラの映像で指名手配できないかと山尾にこぼしていた。証拠はないし、見つけて自供を取るしかないと山尾は言う。


"優は将来の夢に向かっています。どうして私たちの前からいなくなったのか、話せる日が来たら戻って来て下さい。どんな事実でも私たちは受け入れる覚悟です。加瀬さんが無事でいてくれることの方が、私と優には大事です。どうか元気でいて下さい"


大輝と達雄の墓参りをする梨央。優には今まで大変だった分、好きなことをして欲しいと話す。そして自分は十分幸せだと。前より何もかもが明るく見えると言う。

「大ちゃんは幸せ?」

「俺はお前が笑っとるのを見てれば、それでええ。」

「簡単やな。」

「簡単やわ、俺は。」

笑った後、急に真顔になって

「大ちゃん、私なんとなくわかっとるよ。加瀬さんのこと。」

「…何のことや。」

あくまでも白を切るつもりのようだ。そして手を繋ぎ、歩き出す二人。梨央の手を自分のポケットに入れると

「小っちゃい手やな。」

「暖っかい手やな。」


見応えのある、そして見事な最終回だった。とにかく演出が素晴らしい。3つの事件の真相…自分が加瀬の立場でもそうしていたかなと思ってしまう程、どれも仕方なく、切なく、悲しい。

そもそも康介は性犯罪者で、その為に多くの人の人生が狂わされた。なのにその父親は息子の非を認めず、逆に被害者を貶めた。そして被害者の一人である栞の歪んだ嫉妬心?彼女のことは本当に気の毒だと思うが、やり場のない怒りをぶつける場所を間違えていると思う。三人それぞれが身勝手だと感じた。

詳しい状況は加瀬しか知らないことだけど、もし大輝が経緯を知ったら、どうしただろう?そしてあの台風の日、大輝が加瀬の立場だったらどうしただろう?


梨央、大輝、優の三人に、あの事件の前のような幸せな日々が戻って来ることを心から願っていたので、満足だったけれど、そこに加瀬もいて欲しかった。

これから加瀬はどうするのだろう?死を選択せずに生きていて欲しい。


ただ私の中に解決しない疑問が2つ残った…

①プロデューサーヒントで、優が子ども時代に首から下げていた物が鍵と言っていたが、どういうこと?最後までわからなかった。

②昭が会社の不正を知っていたとは思えないが、なぜ後藤は彼に5百万も渡したのか?康介の事件への梨央たちの関与を隠したかったから?


そして多くの視聴者がそうであったように、藤井には完全に騙された!達雄が亡くなった後、梨央の家を訪ねたあの演出と、岡山天音の感情を読み取りづらい演技力にしてやられた。

他にもスーツケースを引いて歩く後藤や、藤井から台風の夜のことを質問された時の大輝の表情なども「もしかして?」と次の放送までハラハラドキドキ。本当にこのコンビのドラマは凄い。演出が最高。素晴らしい作品をありがとう!次回作も楽しみにしています。















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